2011年11月09日
カネカ、新規熱硬化型イミド樹脂をJAXAと共同開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:カネカ

カネカは9日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、宇宙・航空機において耐熱性能が必要な金属材料部品の代替を目的に、高耐熱性炭素繊維強化複合材料向け新規熱硬化型イミド樹脂を開発したと発表した。

現在、この新規熱硬化型イミド樹脂を用いて試作した高耐熱性炭素繊維複合材料は、航空機ならびに人工衛星用の耐熱構造部材への本格的な適用に向けた評価試験をJAXAで開始している。

エンジン周辺構成部材には、200℃以上での高温条件下で発現する強度の観点からチタン合金が使われているが、これを高耐熱性炭素繊維強化複合材料に代替することで、
(1)大幅な重量減による燃費の低減
(2)最適設計による強度の向上
(3)一体成形による部品点数の低減、コスト低減
などのメリットが得られる。

今回開発した新規熱硬化型イミド樹脂は、従来の溶剤溶解を大幅に改善し、複合材料の製造を容易とするだけでなく、作製した複合材料は370℃以上の耐熱性と高い靱性を兼ね備えた物性を発現可能である。

同社は、この樹脂設計技術を生かして樹脂注入成形(レジントランスファーモールディング:RTM)法を用いた高耐熱性複合材料向けの新規熱硬化型イミド樹脂への展開も可能になったとみている。

この樹脂設計によるRTM成形用の熱硬化型イミド樹脂は、高温溶融時の流動性が非常に高く、大幅なコスト低減と生産性の向上が見込まれるため、今後、航空・宇宙分野に限らず、産業用途への市場開拓をも目指す方針である。