2002年05月13日
大阪ガスケミカルが「高屈折レンズ用プラスチック」発売、ポリカーボ、メタクリル凌ぐ
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:カネボウ

 大阪ガスケミカル(遠藤三夫社長、大阪市中央区)は、DVDなどのピックアップ用レンズ、デジタルカメラ用レンズや液晶パネル用フィルム、光ファイバー部品などに使われる高屈折レンズ用のプラスチックの販売を開始した。
 
 同プラスチックはベンゼンやトルエンなど芳香族系の化学品を原料とするもの。大阪ガスとカネボウが共同で開発した。従来、レンズなどの光学品には小型化や高機能化をめざし、射出成形のできるポリカーボネートやポリメタクリルなどのプラスチックが使われてきたが、大阪ガスケミカルの高屈折レンズ用プラスチックは複屈折率が世界最小という特性をもつほか、耐熱性や耐水性にも優れているとしている。
 
 高屈折とは、空気中から透明な物質に光が入るとき、境界で光が折れ曲がる現象で、物質中で光の通過速度が遅くなることが原因。ベンゼン環が多いと高屈折材料となる。屈折率が高いほど、光の折れ曲がりが大きくなる。
 
 また複屈折は通過の像が2重に映る現象で、レンズ材料の異方性が原因。とくに高屈折の高分子材料では問題となる。
 
 ポリカーボネートは複屈折率に、ポリメタクリルでは複屈折率は小さいものの屈折率に難点があった。大阪ガスケミカルが発売した高屈折レンズ用プラスチックは屈折率が1.61(ポリカーボネートは1.59、ポリメタクリル1.49)と高い。
 
 また、成形加工品の寸法精度に優れ、耐熱性も122℃(同121℃、同75℃)と在来品より高い。とくにDVDのブルーレーザー用に適している。当面の販売量はいずれも受注生産だが数百キログラム、目標は1000キログラム。