2011年12月12日 |
ジェトロ・セミナー「タイの復興と日系企業の現状」(上) |
【カテゴリー】:行政/団体(海外) 【関連企業・団体】:ジェトロ |
ジェトロと在日タイ王国大使館は9日、東京でタイ洪水の復興と日本企業の現状を紹介するセミナーを開いた。ウィーラサック・フートラク―ン在日特命全権大使、磯部博明・ジェトロ理事のあいさつの後、タイ、日の担当官が現状と対応策を大要、以下のように説明した。 <タイ洪水の現状と政府の対応> ◇パタイ・スツクソンマイ商務公使=今回のタイの洪水被害額は日系で3,400億円、450社以上に及ぶ。目下、JAICAの協力で洪水の短長期的な対策を作成している。 タイへの投資額が大きい自動車生産は7社のうちトヨタ、日産、三菱自動車、鈴木自動車など6社が11月中ごろまでに操業を再開した。残るホンダも1月中には生産に入る予定である。電子・電気やコンピュータなどの生産回復も早い。 洪水はチャオプラヤー川で発生、北部から4本の川を通して中部に拡がった。過去80年で最大だった。 短期ではことし年末までに冠水した水を排水できる。生産の全面的な再開はタイと工業団地が協力して当たるが、1~6カ月程度かかるだろう。バンコク中心部には浸水がなかった。 タイは毎年、浸水現象が起きるが今年はその前に水不足が続いた。予測が必要なので天気予報システムを構築する。日本と協力して洪水を予測する対策をたてる。また長期的には現在の堤防が1.5メートルの高さにとどまっているのに対し、5~6メートルに引き上げる計画である。 当面の措置として30日の労働ビザの発行、BOI(政府投資委員会)の特別措置として新しい機械の関税免除、低利融資(0.01%)などを実施している。所得税の扱いについては今後検討する。 ◇パリエス・ピリヤマーサクン経済・投資公使=タイは東南アジアの中心。6,700人の日本人が活動している。また、外資の投資額の40%(2,800万ドル)を占めている。自動車、機械電子が60%で、ほかに物流、サービスなど。 自動車の生産はことし合計164万台(うち輸出64%)と予想されている。年初の予想は180万台を見込んでいた。 2015年のアセアン統合で投資と熟練労働者の移動とメコン川流域の物流が拡大する。 部品調達・販売のハブとしての存在価値が高まることから、タイ政府としては工業地をつなぐ物流の充実、拡大に力を入れている。投資の自由化は製造部門ではすでに進んでおり、今後はサービス部門でも特典を設ける。 土地使用権、長期ビザ、8年間所得税免除などの優遇措置も検討しており、とくに食品、機械部品については別途、考慮することにしている。(つづく) |