2001年02月01日 |
大日本インキ化学、東燃化学のPPS子会社を買収 |
年産7,000トンに倍増~世界2位のPPSメーカーに |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:大日本インキ化学工業、東燃化学 |
大日本インキ化学工業(DIC)と東燃化学は31日、東燃化学の子会社でPPS(ポリフェニレンサルファイド)の製造販売を手がけるトープレンの譲渡について合意、DICが1日付で東燃化学からトープレンの全株式を買い取る、と発表した。この結果DICのPPSベースレジン生産能力は年産7,000トンに倍増、シェブロン・フィリップスに次ぐ世界2位のPPSメーカーとなる。 PPSは5大汎用エンジニアリングプラスチックに続く第6のエンプラとして成長しているスーパーエンプラで、ガラス繊維フィラーなどを配合したコンパウンドは、耐熱性や強度、寸法安定性、難燃性、耐薬品性などに優れ、IT関連を中心とした電気・電子部品や自動車部品、精密機械部品など、広範な用途に用いられている。日本のPPSコンパウンド市場の成長率は20%を超えており、2000年には2万トン規模まで拡大したと見られている。 DICは、PPS事業をPBT(ポリブチレンテレフタレート)からLCP(液晶ポリマー)までの結晶性エンプラ事業の中心に位置付けており、重合からコンパウンドまでの一貫生産体制を整えている。特に国内市場では40%を超えるシェアを有するトップメーカーとなっている。しかし、PPSコンパウンド市場の急速な成長にともなって、DICが鹿島工場(茨城県神栖町)に有している年産3,500トンのベースレジン設備はフル稼働となっており、生産能力の拡大が近年の大きな課題となっていた。 トープレンの設備は年産3,500トンで、千葉県袖ケ浦市とDICの工場に近く、架橋型とリニア型両タイプのPPSベースレジンを生産している。今回、東燃化学からPPS事業を譲り受けることにより、多額の設備投資が必要となる新設備の建設を行わずにベースレジンの確保を実現、同事業のコスト競争力を維持するとともに、事業基盤のさらなる強化が可能になるとしている。DICは、今後新会社を設立、両工場を一体運営していく方針で、この結果生産グレードのすみ分け、グレード統合などの合理化や生産性の向上を図るとともに、両社が蓄積してきた固有技術を結集、新プロセスの開発や次世代型新製品の上市に注力していく考え。 一方東燃化学は、個々の事業について、それぞれの事業の価値を高めるため、投資機会の検討や合理化、買収/譲渡など様々な可能性を検討している。今回のPPS事業でも、このような考えに基づき、東燃化学単独で事業を継続するよりも、譲渡したほうが事業価値を高めることができると判断したもの。 |