2001年02月01日
東レ、米AFYからPPS繊維事業の営業権を買収
世界シェアは6割強に拡大/2001年度10億円の売上げ見込む
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:東レ

 東レは31日、米国のAmerican Fibers & Yarns Company(AFY)からポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維事業の営業権を買収することで合意、同日付でAFYから引き継いだ、と発表した。この結果東レは、同繊維の世界マーケットシェアの6割強に拡大、2001年度は約10億円の売上高を見込んでいる。
 AFYは米国ジョージア州カミンガムに本社を有し、PPS繊維事業のほか、自動車や家具内装向けのポリプロピレン繊維を生産・販売している。PPS繊維では、高温用バグフィルター(集塵フィルター)用途を中心に世界マーケットシェアの約5割を握っていた。一方東レは、エンジニアリングプラスチックとしてPPSを1986年に事業化、1988年に愛媛・岡崎の2工場に繊維生産設備を新設、PPS繊維事業をスタートした。
 PPS繊維の世界需要は、現在約1,100トンで、地域別に見ると欧州が約50%、米国約25%、日本ほかアジア約17%、残りが豪州となっている。米国市場では、PPS繊維は高温用バグフィルター用途を中心に評価が高まっており、AFYは石炭火力発電所やアルミ・亜鉛等の精錬炉向けを中心に販売を拡大してきた。東レは今回の営業権獲得により米国・欧州の顧客を継承、他用途での展開も拡大していく考え。
 PPS繊維は耐熱性・耐薬品性・難燃性などに優れ、主に発電所の石炭ボイラーやゴミ焼却炉に使用される高温用バグフィルターなどの一般産業資材分野、また低い熱伝導性を活かし、靴下などの保温性向上素材として使用する衣料分野など、広範な用途に使われている。また近年、都市ごみ焼却炉から排出されるダイオキシン問題により焼却炉の低温集塵化が進んでおり、PPS繊維の耐熱性や耐酸性等のバランスのとれた高機能が評価されつつある。