2012年01月27日
東レ、射出成形用熱可塑CFRPの新規複合化技術を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

東レはこのほど、ナノ構造制御技術の追究により射出成形用の炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(熱可塑CFRP)における炭素繊維と合成樹脂の新たな複合化技術の開発に成功した。

今回開発した技術の適用により、長繊維の炭素繊維強化でありながら、相反する要件である熱可塑性樹脂中での炭素繊維の分散性と接着性を高いレベルで両立しており、少ない使用量でも効率よく補強効果を発現させることができる。

また、同等の強度を持たせたガラス繊維強化プラスチックに比べて20%以上の軽量化の実現が可能になった。

今後ますます重要となる自動車・航空機などの輸送機器用や、家電・モバイル製品用といった部品の軽量化・高機能化に貢献できる材料の開発に期待できる。

東レでは、この新技術によって、ポリプロピレン(PP)およびポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)の各樹脂における炭素繊維強化ペレットの開発を進めており、PPはすでに一部販売を実施している。

PPの場合は、炭素繊維を20重量%強化の場合で比重が1.0と低比重であるのが特徴で、家電や自動車の準構造材料への適用が可能である。一方、PPSの場合は、熱変形温度が260℃以上という耐熱性や優れた耐薬品性、難燃性を持ち、炭素繊維強化により高強度・高弾性率・高耐衝撃強度の達成が可能であり、自動車用の各種機能部品への適用が考えられる。

なお、今回の開発成果を2月15-17日に東京ビッグサイトで開催される「第11回ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出展する。