2012年02月20日
ダイセル、「超分散ナノダイヤモンド」研究加速
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:ダイセル

ダイセルは20日、人工ダイヤモンドの一種である超分散ナノダイヤモンド(Ultra-Dispersed Diamonds =UDD)の早期事業化をめざして、東欧から爆射技術を導入するとともに播磨工場(兵庫県)に爆射試験設備を設置し研究開発を加速すると発表した。

UDDの製造には、高性能混合爆薬を密閉反応機内で制御して爆発・燃焼させる「爆射技術」と、数十ナノメートル以下の粒径で高分散させる「精製・分散技術」の構築が必須となる。

同社は播磨工場に爆射試験設備、新井工場(新潟県)に精製・分散設備を設置し、国内初となる原料から製品までの一貫生産プロセス早期確立と事業化をめざす。

従来のナノダイヤモンドは、機械工作用の研磨・切削用途に使用されてきたが、UDDの量産化が実現すれば、半導体等の精密研磨工程への利用をはじめ、さまざまな用途展開が可能となる。

さらに、UDDは高い熱伝導率、弾性率、屈折率、硬度、安定した化学的物性、高い光透過特性、耐放射線性能等の特徴を有し、ガラス代替用途や電気電子分野・エネルギー分野などへの用途拡大が期待される。バイオ医療分野での応用検討も進んでいる。


【用語の解説】
■超分散ナノダイヤモンドとは :
これまでの産業用ダイヤモンドはミクロダイヤが中心で、高温高圧法を用いて製造し、研磨剤、研磨工具用として使用されてきた。一方、ナノダイヤモンドは東欧を中心に火薬を用いた爆轟法で製造されるが、粒子の凝集力が強い。ミクロ超分散ナノダイヤモンドとは、爆轟法で製造されたクラスター状態の粒子を数ナノ~200ナノメートルサイズに破砕し、粒子表面を化学修飾することで良好な分散性を有するナノ微粒子のこと。ナノ微粒子化により、ダイヤモンド構造に起因する機能性を発現することが可能となり、幅広い用途展開が期待される。