2001年01月29日
トクヤマ、ポリプロ事業から事実上“撤退”
出光石化と製造新会社、営業権譲渡
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学、トクヤマ、日本ポリケム、三井化学

 出光石油化学とトクヤマは29日午後、PP(ポロプロピレン)の事業提携で基本合意した、と発表した。
 両社でPP製造の新会社「徳山ポリプロ有限会社」を設立し、2003年1Q(1~3月)完成を目標に年産20万トン規模の新鋭プラントを建設、トクヤマの現有16万トン設備を廃棄する。またトクヤマは、今夏をめどにPPの営業権と研究を出光石油化学に譲渡する。これによりわが国ではグランドポリマー、日本ポリケム、モンテル・エスディーケイ・サンライズに続き4番目のPPアライアンス会社が誕生する。出光石化のPP生産能力は千葉工場の年産40万トンと合わせて60万トンとなり国内第3位、しかし営業権を譲渡するトクヤマは、事実上同事業から“撤退”することになる。
 記者会見は山本侑出光石化社長が発表リリースを読み上げたあと、三浦勇トクヤマ社長が挨拶したあと、それぞれ記者からの質問に答えた。
 山本社長は提携の狙いについて「共同で大型設備を新設することにより生産の効率化、コスト競争力の強化を図る。東西拠点の立地メリットも活かしたい。競合する国際競争の中で欧米メジャーと戦うことができる」と説明。一方、三浦社長は、「当社は徳山地区全体の構造改革を推進している。新鋭設備が当社のインテグレーションに組み込まれることでコンビナート全体の強化につながる」との点を強調した。
 記者席からは多くの質問が出た。山本社長へは「60万トンで国際競争力は十分か」「海外展開をどう考えているか」など。これに対し同社長は「千葉の3系列40万トンと合わせ4系列で60万トンという規模は、1系列当たりでは海外の大手とくらべても遜色ない。汎用樹脂は原料から一貫体制をとっていくことが大切で、その点でも石油精製部門からもっている当社は有利といえる」「海外ではコンパウンドはともかく、ポリマーから当社単独でやることは考えていない」などと答えた。
 三浦社長には「撤退ととれるが、なぜプラントを工場に残すのか」「千葉ポリプロ、宇部ポリプロとの関係はどうなるのか」などの質問が出た。これに対し同社長は「撤退ととられても止むを得ないが、徳山コンビナート全体の競争力を強化していくことが当社にとって最重要の課題、最良の選択ができた」、また関係会社との問題については「きょう基本合意できたばかりなので、両社にはまだ説明していない。しかし住友化学、三井化学両社は10月に統合新会社を設立される。当社も営業譲渡するし、これ以上両社とパートナーであり続けることは難しい。近く話し合うつもりだ」と語った。
 新会社「徳山ポリプロ」の概要次の通り。

ポリプロピレン製造合弁会社の概要
(1)商号:徳山ポリプロ有限会社
(2)事業内容:ポリプロピレンの製造 年産能力20万トン(平成15年第1四半期稼動予定)
(3)設立年月:平成13年4月
(4)本社所在地:東京都墨田区横網1-6-1(工場:山口県徳山市晴海町1-1(株)トクヤマ徳山製造所内)
(5)代表者:未定 <(株)トクヤマ、出光石油化学(株)から各1名を選出予定。社長は(株)トクヤマから就任予定>
(6)資本金:10億円
(7)出資比率:(株)トクヤマ50%、出光石油化学(株)50%
(8)従業員数:約40名(平成15年新プラント稼動時)

http://www.c-nt.co.jp/cgi-bin/passFile.cgi?FILE=data/capa/pp>ポリプロピレン生産能力
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