2012年03月19日
生物研、世界初の昆虫幼若ホルモンの輸送メカニズムを解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:農林水産省

農林水産省の農業生物資源研究所は、昆虫の幼若ホルモン(JH)とその輸送タンパク質の複合体の立体構造を世界で初めて解明した。この立体構造情報を利用した新規農薬開発の加速化が期待される。

JHは、昆虫では最も重要なホルモンの一つで、さまざまな生理現象に関与している。今回、生物研は、JHと昆虫の血液内でJHの輸送を行うJH結合タンパク質(JHBP)が結合した複合体の立体構造の決定に世界で初めて成功した。

JHBPに結合したJHの立体構造情報を利用することで、より強くJHBPに結合するJH様化合物の精密な設計が可能になり、害虫だけに効く新規農薬開発が加速されると期待される。

また、JHは水に溶けにくく、そのままでは昆虫の血液中を移動することができないが、立体構造を解析した結果、JHBPの分子内部に格納されることによって血液中での移動が可能になることや、標的細胞に到達するとこれを感知して放出されるメカニズムがあることが明らかになった。