2001年01月25日
SCSM、東長原工場のコンデンサ用タンタル粉の増強工事が完成へ
昨年10月の粉末工場に続き4月に還元工場が竣工
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:昭和電工

 昭和電工と米キャボットとの合弁会社である昭和キャボットスーパーメタル(SCSM)は25日、携帯電話や携帯端末等IT産業向けに需要が増加しているタンタル粉(Ta粉)について、今年4月にも福島県河沼郡の東長原工場で進めていた増強工事が完成する、と発表した。すでに昨年10月には後工程の新粉末工場が稼動しており、今回前工程の新還元工場が竣工する予定となっているもので、投資額は50億円。
 今回の生産設備の増強は、還元、粉末調整のTa粉製造の全工程にわたっており、前工程となる還元工程が4月の稼動を予定しているほか、後工程の粉末調整工程は昨年10月に新工場が稼動している。この結果、SCSMのTa粉生産能力は従来の月産18トンから30トンへと大幅に増強され、2000年を初年度とする同社の中期5カ年計画の最終年目標売上高300億円を大幅に前倒して達成できると見ている。
 Ta粉メーカー各社は、IT産業の活況によるTaコンデンサの急激な需要拡大によりフル生産が続いている。コンデンサ向けTa粉の世界市場はこの2年間、前年比25~35%の伸びを示しているが、特に昨年春以降は供給不足感から原料価格が異常なほど上昇した。このため今年前半は、調整局面を迎えるものと見られているが、長期的には今後も2桁の成長が続くと見られている。
 なかでもSCSMが先行し、得意としている高CV値(高容量)粉の需要は、特に成長が著しいが、同社は現時点での高CV値品である4~5万CV品に加え、昨年から7~8万CV品の量産販売体制をスタートしており、さらにこのほど次世代の10~12万CV品の量産施策を始めている。
 さらにSCSMは、引続き高CV値品分野でリーディングポジションを維持していくため、15~20万CV値と、最先端・高容量のTa粉の開発、量産を視野に入れている。高CV値化によりタンタルコンデンサの高容量化とともに、原料の省資源化を図ることができることもあり、実現には研究開発設備の増強が必要であるとして、技術者の拡充を含めた積極的な資源の投入を行う考え。
 なお、課題となっている原料の安定調達については、親会社のキャボットがオーストラリアのグァリア社と2003年最終年度とするタンタル鉱石生産倍増計画を進めている。また、SCSM独自の原料手当拡充策として、世界各地の鉱石産出地域からの調達ルートの整備を進めており、特に南部アフリカ地域では、複数の地元鉱山会社と新規タンタル鉱山を開発中で、原料の長期安定ソースとして育成していく方針。