2001年01月24日 |
BASF、武田薬品とのビタミン事業統合で日本でも体制強化 |
合弁会社BASF武田ビタミンの相乗効果に期待 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:BASF、武田薬品工業 |
BASFは24日、武田薬品工業とのバルク・ビタミン事業の世界的な統合を今月4日に完了、日本でも合弁会社BASF武田ビタミンがスタートしたことを受けて会見し、今後の事業展開などについて語った。 昨年7月の合意では、日本での合弁会社設立のほか、米国のタケダ・フード・ビタミン米国とその子会社のタケダ・カナダ・フード・ビタミン、ドイツのタケダ・ヨーロッパ、シンガポールのタケダ・フード・ビタミン・アジアの全株式をBASFに譲渡し、海外市場ではBASFが統合されたバルク・ビタミン事業の全販売権を所有することになり、また武田薬品フード・ビタミンカンパニーが保有しているビタミンC、B1、B2、B6、葉酸などのバルク・ビタミン製造技術や・特許も譲渡された。このほか武田薬品の同カンパニーが山口県の光工場でバルク・ビタミンの生産を一定期間継続、全量をBASFに供給することなどが挙げられていた。 BASFジャパンのディートマー・ニッセン社長は、「BASFは事業ポートフォリオの最適化を追求しているが、現在は未来に合致(Fit for the Future)した事業展開をスローガンに掲げている。これは革新を通じた成長、あるいは革新と成長を両立することを目指したものである。昨年7月に武田薬品との統合を発表したが、これを成功裏に完了した。実質的には武田薬品の事業がBASFに移管された形となっている。我々は、今回の統合により1+1が2以上になるよう目指している。当社と武田薬品は、長期間にわたって友好的な関係を続けてきたが、1999年には武田化学飼料を買収、また昨年には武田バーディシェウレタンを完全子会社化し、お互いに補完する関係となっている」と語った。 続いてBASF武田ビタミンのジョシュア・ロッテンベルク社長(BASFジャパンの取締役ファインケミカル事業本部長)は、「BASFのファインケミカル事業本部は、動物用飼料、健康栄養事業、医薬、パーソナルケアなどの分野を手がけているが、この中で最も強いのが動物用飼料とビタミン事業である。ビタミン業界は、中国などからの安値品の流入や米国でのスキャンダルなどにより、不安定な状態となっており、メーカー各社は、事業を整理する、事業は継続するものの積極的な投資はしない、コア事業に位置づけ強化、拡大する、などの選択を迫られている。この中でBASFは第3の選択肢を選んだ。BASFにとってビタミン事業は魅力的であり、グローバルなプレーヤーとしてさらに拡大していく考えだ。BASFでは戦略上、世界で25~30%のシェアを確保しなければならないと見ていたが、今回7%のシェアを持つ武田薬品の事業が統合されたことにより、21%から28%に拡大した。また、これまでBASFは飼料向けが中心であったが、武田薬品の水溶性ビタミンが加わったことで、これからはヒト用ビタミンや、医薬向け、パーソナルケア向けなど広範な分野をカバーすることができるようになる。世界のビタミンの市場は、全体の60%が飼料用、40%がヒトの健康栄養用途と見られ、平均4%の成長が見込まれているが、特に日本のような先進国ではヒト用の需要拡大が期待され、200億円市場に成長すると見られている」と、説明した。 また、BASF武田ビタミンの守田保道副社長は、「BASF武田ビタミンには、武田薬品から35名が出向(東京21名、大阪9名、四日市(ラボ)4名)している。当初は、相手が外資企業であることもあり不安があったが、恵まれた環境が用意されていたことから皆が興奮し、事業を盛り上げていこうという気持ちになっている」と新会社の印象を語った。 なお、光工場のビタミン製造設備については、BASFのビタミン生産能力の拡大計画をにらみながら、段階的に縮小していく考えだが、当面日本では両社の統合した事業の安定化を図り、次の段階で製品の強化を進めていく方針。 |