2012年04月05日
理研、喫煙で慢性閉塞性肺気腫の発症が早まるメカニズム解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は4日、喫煙によって慢性閉塞性肺気腫(COPD)の発症が早まるメカニズムを解明したと発表した。
これは、理研と大阪大学、群馬大学の共同研究による成果で、COPDの予防、早期診断、治療薬の開発につながるものとして期待される。

研究グループは、喫煙とコアフコース糖鎖の減少の関係を明らかにするため、マウスに喫煙させ、経過を観察した。その結果、正常なマウスに比べて2倍早くCOPDを発症することを見いだした。

さらに、喫煙によりこのマウスの肺組織ではコアフコース糖鎖が減少し、それがタンパク質を分解する酵素のMMPを異常に活性化して、肺胞壁を破壊していることがわかった。

これらのことは、喫煙によってコアフコース糖鎖の合成阻害が進み、COPD発症を早めて症状を悪化させていることを示している。

現在、COPDの治療法は、気管支拡張剤やステロイド剤の投与といった対症療法だけで、抜本的な治療法は存在しない。今回の成果は、喫煙によるCOPD発症のメカニズムを分子レベルで詳細に解明し、根本治療を目指す新しい治療戦略の構築に貢献するものであると評価されている。