2001年01月24日
三菱化学子会社の江本工業、長府製作所と住設関連で提携
長府製作所が三菱化学保有株式の10%を譲受
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱化学

 長府製作所と三菱化学の子会社である江本工業は24日会見し、住宅設備関連事業を中心に戦略的業務提携を行うとともに、長府製作所が江本工業株式の約10%(140万株)を三菱化学から譲り受けることで合意し、同日付で株式を譲渡した、と発表した。
 江本工業は、1967(昭和42)年に設立、北海道を基盤に、徐々に事業を拡大、現在は全国的に展開している。これまで三菱化学は同社に36%出資していたが、今回の株式譲渡により出資比率は26%となる。ただし、筆頭株主であることには変わりなく、また長府製作所は第3位の株主となる。
 住宅設備関連業界は、新設住宅着工件数の減少、特に持ち家の大幅な減少を背景に、企業間の競争が激化しており、さらに「住宅の品質確保等に関する法律」の施行や住宅性能表示制度の制定により、品質の向上や営業力強化、個Kスト競争力の向上など、事業基盤の強化が求められている。今回、家庭用給湯器を主力とする長府製作所と、システムバスを主力とする江本工業は、お互いの商品の販売提携、資材の共同購入、商品の共同開発、人材交流等広範な事業提携を行っていく事にしており、様々なシナジー効果を期待している。
 具体的には、(1)両社の主力製品を相互にOEM供給することにより、システムバスでは機種、機能、仕様がさらに充実、競争力のあるラインアップを実現、販売増を期待するほか、浴室機器に付帯する給湯器、特に石油給湯器は江本工業の販売ルートでシステムバスとのセット販売による売上増が期待できる。(2)エアコン、暖房機、ソーラー機器その他住宅設備機器について、相互の製品をそれぞれのルートで販売することで、取り扱い製品が拡大、広範なユーザーのニーズに応えることが可能となり、両社の生産および営業効率が高まる。(3)システムバス、浴室関係機器の共同開発や資材の共同購入より、開発力の強化とコスト削減を図る。(4)販売提携により顧客サービスの向上や販売効率化を図る。(5)生産面での提携により、生産技術の向上、生産体制の効率化が進展する、などを挙げている。
 会見した江本工業の田中日出男社長、長府製作所の川上康男社長、三菱化学の高野盛久副社長のコメントは次の通り。

[江本工業・田中社長]当社も住宅着工件数の減少と価格競争の激化により売値が下がり、業績が低迷している(注:今期業績予想は売上高140億円、経常損失△5億円、当期損失△15億円)。今回の広範な提携により、高収益体質の長府製作所の経営ノウハウに触れることも一つの効果となるだろう。新しい江本に向けた起爆剤となることを確信している。
[長府製作所・川上社長]当社は現在4工場・14営業所体制で事業を展開しているが、住宅着工件数の減少と流通の多様化による販売チャネルの変化などにより、最近の業績は横ばいとなっている。北海道を基盤とする江本工業と幅広く提携することにより、お互いのウィークポイントを補完することができると考えている。
[三菱化学・高野副社長]当社と江本工業の関係は、アルミと樹脂の複合板アルポリックを供給することからはじまっており、以来連結対象の持分法適用子会社に位置付けている。これまで順調に事業を拡大してきたが、現在の状況、特に持ち家の着工件数の減少などが響き、江本工業も大変厳しい状況となっている。今回の提携が厳しい経営環境を乗り越えるきっかけとなり、大きなプラスになると考えている。