2012年04月12日
理研、脳内遺伝子の発現様式解明に小型サルが有用なことを立証
【カテゴリー】:新製品/新技術(ファインケミカル)
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は11日、小型サルの「コモンマーモセット」がヒトのモデル動物として適しているかどうかを脳内遺伝子の発現様式の解明で検討した結果、ヒトのモデル動物として有用なことがわかったと発表した。

「コモンマーモセット」は、南米産のサルで成体でも300-500gと小型であり、1年半から2年で繁殖能力をもち、1度に2-3匹出産する。

従来、ヒトやサルなど霊長類の脳がどのように形成されているかを解明するのにマウスが使われていたが、この小型サルが最近、ヒトの脳発生メカニズムの解明のモデル動物として注目されている。

理研では、マウスで脳発生に重要とされる26個の遺伝子を選び、それらに相当する遺伝子をコモンマーモセットで単離して検証した。その結果、約1年半という比較的短期間で、大脳皮質や視床などほぼ脳全体で遺伝子発現を確認した。マウスとは異なる発現様式を示す遺伝子も多数あった。

このことは、ヒトのモデル動物として霊長類モデルを用いる重要性を示すとともに、コモンマーモセットがヒトのモデルとして有用なことを示している。

今後、コモンマーモセットと大型のサルを組み合わせて効率的な実験を行うことで、ヒトの脳発生や精神疾患発症のメカニズムの解明、高次機能障害の治療法の確立につながると期待されている。