2012年04月20日
東京医歯大、骨の健康を守るたんぱく質を発見
【カテゴリー】:新製品/新技術(ファインケミカル)
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

科学技術振興機構(JST)は19日、東京医科歯科大学が「セマフォリン3A」と呼ばれるたんぱく質が骨の健康を守り、このたんぱく質をマウスに投与すると骨が増加することを発見したと発表した。骨粗鬆症や骨折、関節リュウマチの新たな治療法・早期診断法に道を開くものと期待されている。

東京医科歯科大の研究グループは、神経細胞が回路を作る過程や、免疫細胞であるT細胞の抑制などに関わることで知られる「セマフォリン3A」というたんぱく質が、骨芽細胞から産生され、骨芽細胞自身と破骨細胞の両者に働きかけることにより、骨吸収の抑制と骨形成の促進という2つの作用を持つことをマウスにおいて明らかにした。

また、骨再生モデルマウスや骨粗鬆症モデルマウスに「セマフォリン3A」を投与すると、骨の減少を食い止め、骨の再生を促進することができ、症状が改善された。

今回の発見により、骨粗鬆症や骨折、関節リュウマチなどの新しい治療法の開発につながることが期待される。また、老化して骨重が低下傾向にあるマウスでは、血中のセマフォリン3Aたんぱく質量が低下していることも観察でき、疾患診断バイオマーカーとしても利用できる可能性を示した。