2012年05月09日
理研、水にしか溶けない核酸が溶媒に溶けて触媒となることを発見
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は、水にしか溶けなかった核酸を有機溶媒に溶かすことに成功したと8日発表した。また、有機溶媒中の核酸は水中と同じ立体構造を保持し、熱的にも安定した触媒として機能することも発見した。

化粧品などの材料として知られるポリエチレングリコール(PEG)は、たんぱく質に結合させると、水にも有機溶媒にも溶かすことができる。そこで、理研の研究チームは、ヒトロメア配列と同じ配列のオリゴ核酸の末端にPEGを結合させたPEG-DNAを作製して可溶性を調べたところ、クロロホルム、ベンゼン、塩化メチレン、アセトニトリル、エタノールなどほとんどの有機溶媒に溶けることを発見した。

また、有機溶媒中でも水溶液中と同じ立体構造を保持し、触媒機能も同様に発揮することを確認した。具体的には、水中で酸化反応を触媒するDNAザイムにPEGを結合して有機溶媒に溶かしたところ、発光試薬として広く利用されるルミノールを酸化させることがわかった。

今回、生体分子に簡単な化合物を結合させるだけで、有機溶媒中でも触媒機能を発揮させることに成功したわけで、この可溶化技術により、核酸の利用範囲は大きく広がる。今後、新たな有機合成反応の開発に貢献するなど、広範囲な化学の研究分野を形成することが期待できる。