2012年05月09日
北陸先端科技大院、世界最強度のバイオポリエステル開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は9日、北陸先端科学技術大学院大学が、植物細胞に含まれる桂皮酸類(ポリフェノールの一種)と天然鉱物であるハイドロサルタイトを用いて、高耐熱性と世界最強の曲げ強度を持つバイオポリエステルの開発に成功したと発表した。

ガラス繊維強化に成功したもので、スーパーエンプラ並みの性能となったため、自動車など輸送機器のエンジン周りに利用できる見通しとなった。

研究グループは、あらゆる植物細胞に含まれる堅い構造の天然分子である桂皮酸誘導体に着目し、それらをハイドロタルサイト触媒の存在下で重合することにより、明確な構造の液晶性高分岐高分子となることを初めて発見した。この高分子は土壌分解性高分子でもあり、かつガラス繊維が作る界面の効果により高度に配列する現象も見いだした。

そこで、ガラス繊維をプラスチックの鋳型中に同一方向に並べそこに高分子固体粉末を入れ、ホットプレス法で固めるだけで、高度に配向したバイオ樹脂が生成され、力学強度が従来のケナフ強化型を超える145MPaのガラス繊維強化型の高強度バイオポリエステル樹脂を開発できた。

また、305℃の高耐熱性と10GPaの弾性率を持つためにスーパーエンプラとしての使用が可能なレベルとなった。今後、自動車エンジン周りなどの金属やプラスチックを代替する物質として設計する予定である。