2001年01月19日
ABS樹脂、アジア市況の上昇機運高まる~旧正月明けに期待
透明グレードの値上がりは微妙
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ABS樹脂のアジア市況は、先高感で原料SM(スチレンモノマー)が値上がりしていることを受けて上昇機運が高まっており、少なくとも旧正月明けにはトン当たり30ドル前後の上昇が期待されている。ただし、昨年後半から下落傾向にある透明グレードまで上昇するかどうかは微妙な情勢だ。
 ABS樹脂のアジア市況は、昨年11月初めの1,050~1,120からやや下落、今年に入ってからは950~1,000ドル前後で推移している。しかし原料SMは年初から反転、先週までにトン当たり620~630ドル、現在も650ドル前後まで上昇していると見られ、先高感が強まっている。このためすでに中国では670~680ドルのオファーが出ているもようだ。
 大手商社筋によると、「中国のABS樹脂メーカーは、旧正月前に在庫を整理する一方、旧正月明けから欧米の定修がはじまり原料が不足すると見ている。この先高感で少なくとも30ドル前後は値上がりするのではないか」としている。
 一方で、透明ABS樹脂は昨年後半以降、需要の成長の鈍化から市況が下落傾向にあるが、さらに昨春新規参入した台湾の奇美実業の製品が、中国で3月頃にはユーザーの評価が終わり、本拡販売を開始すると見られていることなどもあって、旧正月明けに汎用グレードと同じように値上がりするかどうかは見極めにくいようだ。