2012年06月13日
岡山大「口腔感染症予防の口腔ケア剤」で大学発ベンチャー
【カテゴリー】:新製品/新技術(ファインケミカル)
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は、産学連携支援事業の一環として、岡山大学に委託していた研究開発課題「要介護者向け口腔ケア剤の開発」に成功し、同大学を中心に研究開発に参画したメンバーらによるベンチャー企業「株式会社グライコポリマーサイエンス」が誕生したと発表した。同事業による大学発ベンチャー企業数は121社となった。

現在、抗菌剤を配合した口腔ケア剤は多く市販されているが、抗菌剤が歯の表面に長く留まるための特別の工夫はされていないのが現状である。

岡山大学の研究員(難波尚子特任教授)らは、リン酸化プルランと抗菌剤CPCからなる組成物を用いた口腔ケア剤と、歯の表面分子との荷電状態を利用して、多くの殺菌剤成分が標的とする歯面に吸着できる特性を与えることにより、持続的な抗菌効果を持たせることに成功した。

誕生したベンチャー企業は、「現場ニーズを踏まえ、使いやすい形で材料提供する」ことを基本理念として事業展開を進めていく方針。しかし、国内の薬用洗口液市場は大手企業4社で売上額の約80%を占め、独自の販売ルートを確立しているために新規参入が難しい状況にある。

このため今後は、大手4社を含めた企業の中から最適なライセンス・技術移転先を決め、材料研究開発を事業基盤とした企業戦略を展開していく方針。商品化から3年後には売上高17億円(2011年度薬用洗口液市場の10%)を目指す。