2001年01月17日
バイエルとミレニアム、ゲノムベースの腫瘍薬候補物質が初の臨床開発へ
提携によるシナジー効果が新薬発見を促進
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:バイエル

 独バイエルと米ミレニアム ファーマシューティカルズはこのほど、両社の共同研究により、初のゲノムベースの新薬候補物質を短期間で発見した、と発表した。この新物質は、ゲノムベースのターゲットに対し発見された初の低分子医薬候補化合物と考えられ、同物質の第1相臨床試験が2001年中にも開始される見込み。
 今回両社は、1998年9月の業務提携以来わずか18カ月弱で遺伝子発見から臨床開発段階に進むことに成功した。合理化されたクラス別ターゲットと呼ばれるアプローチで、種々の腫瘍モデルのなかの新しい遺伝子のプロファイリングから始め、さらにミレニアム社の遺伝子発見プラットフォームを用いて、一つの新しい遺伝子とタンパク質が発見され、ガンと関連付けられた。バイエルは、この新規ターゲットに対するスクリーニング方法を開発、超高速スクリーニング法を使用して、新規タンパク質に対する膨大な化学ライブラリーの抽出を行った。この結果、一つの新規化合物が発見され、これを特に腫瘍を対象とした生体外、生体内の研究により最適化、臨床開発段階(代謝と毒性の面でヒトでの研究に適した特性を有する化合物)まで進んだもの。このスピーディーな共同発見プログラムにより、ゲノムベースの革新的な新薬発見手法の有効性が検証され、将来は画期的な治療法の開発を加速すると見られている。
 両社は、今回の成功が提携により生み出された相乗効果のあらわれであるとしている。大規模な遺伝子学、ゲノミックス、オートメーション、情報科学を統合することで、ミレニアム社は新薬発見につながる可能性の高い疾病に関するターゲット探しに取り組み、バイエルは化学と薬理学に関する広範で強力な専門知識をはじめとした最先端のハイテク新薬発見プラットフォームをこのプロジェクトに投入した。
 ミレニアム社のマーク・レヴィン会長は、「ゲノムから取り出せる価値は膨大である。この化合物の迅速な発見は、当社の技術プラットフォームの力と、バイエルとの提携による相乗効果の力が組み合わさり、それが医学に革命をもたらしうる治療法や新薬の発見に至った素晴らしい例である」と語った。
 また、バイエルおヴォルフガング・ハートヴィヒ医薬品研究部長は、「バイエルはずっと以前から、ゲノムベースで新薬を発見することに大きな可能性があることを認識していた。これは製薬業界にとって画期的な出来事であると同時に、両社の関係を含め、先端のゲノム技術を利用して新薬を発見するという当社の戦略の価値を確認するもので、この提携関係が引続き成功をもたらすと期待している」と述べた。