2001年01月16日
電気化学と住友大阪セメント、高耐久性コンクリートを共同開発
高強度と高流動を兼ね備えつつひび割れを抑制
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:電気化学工業

 電気化学工業と住友大阪セメントは16日、コンクリート構造物の耐久性を飛躍的に向上させる高耐久性コンクリート「パーフェクトコンクリート」を共同で開発した、と発表した。今月より両社の直系生コン工場(首都圏、関西地区)から供給を開始する。
 一般に鉄筋コンクリート構造物の耐用年数は65年といわれているが、この寿命はコンクリートの中性化により大きく左右される。本来硬化したコンクリートはアルカリ性で、中の鉄筋はこのアルカリによりさびから守られている。しかし、長い年月の中でコンクリート表面から大気中の二酸化炭素が徐々に浸透すると、コンクリートが中性化され、鉄筋に達すると錆を発生し躯体の劣化を引き起こす。また沿岸部では、中性化と並び塩分の浸透も問題となっており、特に大きなひび割れが発生すると、中性化や塩分の浸透が助長される。
 コンクリートは乾燥にともなう収縮や温度変化による伸縮など、様々な原因によりひび割れを起こすが、特に硬化時の水和発熱などの影響で構造物に生じる初期ひび割れは本来コンクリートが持っている耐久性や水密性などの性能を損なう可能性がある。
 このような中性化や塩分の浸透を抑制するため、これまでコンクリートの表面を仕上げ材で保護したり、コンクリートのかぶりを厚くするなどの対策がとられてきたが、仕上げ材のメンテナンス回数の増加にともなうコスト高や、躯体重量の増加により耐震性を損ねるなどの問題が出ていた。
 これに対し、今回共同開発したパーフェクトコンクリートは、低発熱ポルトランドセメントをベースに、膨張材や収縮低減剤、高性能AE減水剤を用いており、従来のコンクリート同様の安定した品質を得ることができる。電気化学の混和材技術と住友大阪セメントの低発熱型セメント技術の融合により実現したもので、(1)水セメント比を下げ緻密なコンクリート組織にすることで、中性化や塩分の浸透を抑える、(2)硬化時の発熱を普通コンクリートの半分まで抑えることで、高いひび割れ抵抗性を実現、(3)近年のコンクリート構造物の高層化や大型化ニーズに対応し、高強度と高流動の機能を兼ね備える、などの特長を有している。これらの結果両社では、硬化時に発生する初期の欠陥が減少することで構造物の耐久性が飛躍的に向上、高品質のコンクリート構造物を提供することが可能になると見ている。また構造物の耐用年数が延びることでライフサイクルコストの低減、ひいては資源の有効利用の観点から地球環境保全にも貢献するとしている。
 高耐久性コンクリートは、高層建築物やLNGタンクを中心に年間数十立方メートルの需要があり、さらに拡大する傾向にある。両社は、様々なコンクリート技術が登場する中で、高強度と高流動だけでなく、構造物のひび割れを抑制して高耐久性を兼ね備えた製品は初めてであるとして、今後もユーザーのニーズに積極的に対応していく考え。