2012年07月12日
2011年のEPSリサイクル率 大震災の影響で初めて前年割れ
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:発泡スチロール再資源化協会
会見する塚本耕三会長(右)と関塚博美副会長

発泡スチロール協会(JEPSA)は12日、2011年の発泡スチロール(EPS)の再資源化動向を発表した。それによると、EPSのリサイクル率は85・7%で、前年比2.3ポイント低下し、初めて前年実績を下回った。これは、EPS出荷量の減少と、東日本大震災の影響で資源再生事業者が再資源化事業を一時中断せざるを得ないケースが発生したのが大きな要因である。リサイクル率は1998年の51.5%以来連続して上昇してきたが、初めて前年を下回った。

EPSの国内出荷量は、14万9500トンで前年比2.7%減少した。用途別にみると、主力の農水産分野が大震災の影響で8万3200トン、同5.4%減と大きく減少した。大震災に見舞われた東北地区は、国内有数の水産業の拠点であり、全国のEPS魚箱市場の中で需要の約3割を占める大市場であり、需要面だけでなく資源再生事業者の操業でも大震災のダメージが大きかった。緩衝材・部材分野は家電エコポイント制度の終了が響いて4万4900トン、同5.3%減となったものの、建材・土木分野は住宅エコポイント制度により断熱材が伸びて2万1300トン、同17.7%増となった。

この結果、EPSリサイクル量は12万1600トンでリサイクル率が85・7%で同2.3ポイントの低下となった。このうちマテリアルリサイクルは7万8000トン、リサイクル率55%で同0.5ポイントの低下、サーマルリサイクルが4万3600トン、リサイクル率が30.7%、同1.8ポイントの低下となった。

この結果について同協会の塚本耕三会長(JSP社長)は、「リサイクル率はダウンしたが、結果的には85%を超える高いリサイクル率を維持できた」と評価し、今後については「卸売市場との関係維持、マテリアルリサイクルのアンケートの新規調査先の開拓、協会のリサイクル体制の充実に取り組み、高いリサイクル実績を維持したい」と強調した。