2012年07月19日
高橋日化協会長「エネルギー政策・3つシナリオ」に不満
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学工業協会
高橋恭平会長

日本化学工業協会は19日、政府が原発依存度を減らそうと、3つのシナリオを掲げてパブリックコメントを求めている問題について、「いずれのシナリオも電力コストの大幅上昇を招き、国民生活や産業界に大きな影響を与えることは必至だ。シナリオで固定せず、環境変化に応じて柔軟に対応していくべきだ」とする高橋恭平会長(昭和電工会長)のコメントを発表した。
 
政府は現在、2030年を目標にわが国のエネルギーの重点をクリーンエネルギーにシフトし、将来(1)原発をゼロにする(2)15%に下げる(3)20-25%とする、3つの「選択肢」を掲げて意見聴取している。

これに対して日化協では、わが国化学産業の電力消費量は2010年で約310億KWhと大きく、かりに20-25%シナリオとなっても5.5円/KWhのコストアップとなり、年間では1700億円の負担増になるとしている。

【高橋会長コメント(全文)】
 今回提示された案については、いずれのシナリオにおいても電力コストが大幅に上昇することになり、わが国の成長性と国際競争力を毀損することは必至である。多くの産業において製造拠点を国内に立地することが困難になり、国民生活の基盤となる社会インフラの維持に不可欠の製品供給にさえ支障をきたすことも予想される。

 また、今回のシナリオには、さらに膨大な省エネルギーの達成が織り込まれているが、すでに日本の化学産業はこれまでの努力の積み重ねにより世界最高水準のエネルギー効率を達成しており、これ以上の省エネルギー達成のためには多額の設備投資が必要となる。厳しい国際競争にさらされている製品も多く、さらなるコスト負担には耐えられない製品も数多い。

 今回3つのシナリオとして示された今後策定されるエネルギーミックスを固定したものとはせず、環境変化に応じて柔軟に対応できるエネルギー・環境戦略とすることを強く政府に求めたい。