2001年01月11日
田代VEC会長「塩ビ業界に自主調整機能働く」
賀詞交で挨拶「環境問題では全化学産業と連携」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東ソー、塩ビ工業・環境協会

 VEC(塩ビ工業・環境協会)の田代圓会長(東ソー社長)は11日に開いた同協会の新年賀詞交換会で挨拶し、「塩ビは輸出比率が高いなどの課題はあるが、業界再編の動きの中で生産能力が減少するなど、自主調整機能が働いてきた」と報告した。また環境・安全問題については「ダイオキシンをめぐる問題は沈静化してきたが、塩ビだけではない問題も指摘されている」とし、今後は化学産業全体の問題として解決に取り組むとの強い姿勢を示した。
 同会長はまず、2000年のポリマーとモノマーの出荷実績について「樹脂は国内向け約170万トン、輸出70万トンで計240万トン、モノマーは国内250万トン、輸出50万トンで計300万トンと、前年並み水準が見込まれる」としたあと、「輸出が合わせて120万トンで出荷量の40%を占めている。他の汎用品に比べて極めて高い」との点を課題ととしてあげた。
 しかし、生産能力はポリマーが2000年初の286万トンから同年末には261万トン、モノマーも332万トンから309万トンと削減されており、生産量からみて「均衡点に近づいている」、在庫実績などからも「自主的な調整機能が働き始めたと理解できる」と語った。その一方で採算性はいぜん厳しく、1992年度以来連続8年経常赤字を記録、この間の合計赤字額は1,182億円に達しており、「2001年も内外環境は厳しく、予断を許さない状況」と、商慣行改善などの必要性を訴えた。
 一方、VECが全力で取り組んでいる環境・安全問題については「循環型経済社会構築に向けた一連のリサイクル法が制定された意義は大きい」とし、「塩ビ製品が長寿命、省エネ、リサイクル性にすぐれている点をさらにアピールしていきたい」と強調、安全性については「ダイオキシン・イコール・塩ビという“単純な塩ビ叩き”の動きは沈静化してきたが、内分泌かく乱物質として他の化学物質が指摘されている。塩ビ樹脂単独の問題としてではなく、全化学産業に関わる問題でもあるので、グローバルな取り組みが必要だ」、「今後は国際機関とも連携し一段と協力体制を強め消費者への理解を広めていきたい」と熱のこもった口調で語り、会場を埋めた約400人の関係者から盛大な拍手を浴びた。