2012年08月09日
東レ、生分解性微多孔ポリ乳酸フィルムを開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

東レは8日、透湿性と防水性を併せ持ちながら、環境に優しい生分解性のある微多孔ポリ乳酸フィルムの開発に成功したと発表した。農業用マルチフィルムや紙おむつ・生理用品などの生活資材向けの新素材として需要の拡大に期待しているる。2014年までには量産技術を確立する方針である。

透湿・防水性を有するポリ乳酸フィルムを得るには、微細粒子をポリマー中に高濃度・高分散した状態で適正な延伸を行い、一つ一つの孔をつなげて貫通孔をつくるのがポイントとなる。

東レは独自の高分子技術により、微細粒子と相互作用するユニットとポリ乳酸と相互作用するユニットからなる新規ポリマーを精密合成し、この新規ポリマーを微細粒子とともにポリ乳酸中へ混練することで、ポリ乳酸中に微細粒子を高濃度かつ単分散させることを可能にした。

こうして得られた微細粒子高濃度含有ポリ乳酸を、長年のフィルム製造技術を用いて、単分散状態を維持したままフィルム成形することに成功した。微細孔同士を連結することで、世界初となる乾式法での貫通孔形成を実現した。

同技術は、微細粒子、新規ポリマー、フィルム製造条件などを選ぶことで、目的とする貫通孔の孔径、密度を制御できるため、ユーザーの要望に応じた透湿・防水性能を提供することが可能になった。

今回開発した微多孔ポリ乳酸フィルムは、構成するすべてのポリマーが生分解性を有するとともにバイオマス性が高いため、持続可能な循環型社会の発展に大きく寄与できると考えており、早期の実用化に向けた量産技術の開発を加速させる方針である。