2012年08月24日
農水省、バイオマス事業化戦略に「グリーン産業」創出など
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:農林水産省

農林水産省は、平成22年12月に閣議決定したバイオマス活用推進計画の目標(2020年に約2600万炭素トンのバイオマス利用、約5000億円の新産業創出)の達成を目指し、地域におけるグリーン産業の創出と自立・分散型エネルギー供給体制の強化を実現していくための指針である「バイオマス事業化戦略(案)」の骨格を固めた。

まず、「技術戦略(技術開発と製造)」では、事業化推進に重点的に活用する実用化技術は、メタン発酵・堆肥化(バイオマスは食品廃棄物、下水汚泥、家畜排せつ物)、直接燃焼(木質、鶏ふん、下水汚泥)、固体燃料化(木質、草本、下水汚泥)、液体燃料(余剰・規格外農産物、廃食用油)とし、概ね2年ごとに見直す。

「出口戦略(需要の創出・拡大)」では、再生可能エネルギー電気のFIT制度(固定価格買取制度)の積極的な活用、投資家・事業者の参入を促すバイオマス関連税制の推進、各種クレジット制度の積極的活用による温室効果ガス削減の取り組みの推進バイオマス活用施設の適切な立地と販路の確保、付加価値の高い製品による事業化に推進―を挙げた。

「入口戦略(原料調達)」では、バイオマス活用と一体となった川上の農林業の体制整備、広く薄く存在するバイオマスの効率的な収集・運搬システムの構築、高バイオマス量・易分解性の資源用作物・植物の開発―を挙げた。

「個別重点戦略」では、次の5つのバイオマスについて定めた。
▽木質バイオマス(未利用間伐材の効率的な収集・運搬システムの構築と木質発電所でのエネルギー利用の一体的・重点的推進、製剤工場残材や廃材の製紙原料、ボード原料やエネルギー等への再利用推進)
▽食品廃棄物(分別回収の徹底・強化とバイオガス化、他のバイオマスとの混合活用、固体燃料化による再生利用)
▽下水汚泥(バイオガス化、食品廃棄物との混合利用、固体燃料化の推進)
▽家畜排せつ物(メタン発酵、直接燃焼、食品廃棄物との混合利用による再生)
▽バイオ燃料(農業と一体となった地域資源循環型バイオ燃料具体化方策を検討、バイオディーゼル燃料の税制による低濃度利用の普及や高効率・低コスト生産システムの開発、次世代バイオ燃料製造技術の開発加速化)

「総合支援戦略」では、地域のバイオマスを活用したグリーン産業の創出と地域循環型エネルギーシステムの構築に向けたバイオマス産業都市の構築、原料生産から収集・運搬、製造・利用までの事業者の連携による取り組みを推進する制度の検討、プラント・エンジニアリングメーカーの事業運営への参画による事業化に推進―を挙げた。