2012年08月28日
石化協、事故巡回セミナー「重要な企業体質、技術継承」
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:石油化学工業協会
セミナー会場の受講者たち

化学プラントの重大事故が相次いだ中、石化協はこのほど、三菱化学・鹿島事業所(茨城県)会議室で「第7回 事故事例巡回セミナー」を開催し、集まった保安管理者たちに、保安対策のあり方や要点をレクチャーした。

講師の渡辺要・元ジャパンエナジー環境安全部長が「高圧ガス施設事故を機に手がけた企業体質の改善」、中村昌允・東京農工大学工学府教授が「最近の化学プラントの事故と安全管理の課題」と題して講演した。

この中で渡辺氏は、自身の体験を振り返りながら「1996年ごろに連続して事故が発生したが、根底には企業体質の問題があると考え、体質改善に着手した。約3年かかったが、トラブル発生件数を10分の1に減らし、安定した操業を実現した」と、“苦労話”をまじえながら、安全対策とどう向き合ってきたかを説明した。

中村氏は、専門学者の立場から「最近起きている事故を見ると、現場の対応能力が低下してきた印象だ。ルールやマニュアルの順守にも、近道や省略行為がみられる。プラント設計当時の事情を知る技術者がいなくなったことによる技術継承の問題が生じ、事故につながっている」と指摘した。

会場には周辺11の企業から119人の現場管理者、保安担当者らがつめかけ、熱心に聴講した。