2012年09月06日
帝人、2層のポリ乳酸積層フィルムで新規透明圧電材料を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:帝人

帝人は6日、関西大学と共同でポリL乳酸(PLLA)とポリD乳酸(PDLA)の2種類のポリ乳酸フィルムを用いることで、簡便な積層プロセスにより製造することができる、透明かつ柔軟性があり、従来にない高い圧電効果を有する透明圧電材料を世界で初めて開発したと発表した。

開発したポリ乳酸積層フィルムは、PLLAフィルムと、その光学異性体(キラル高分子)であるPDLAフィルムを積層させたもので、圧電材料に用いられているPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を凌駕する圧電効果を発揮しつつ、従来以上に大型化・軽量化を実現可能な柔軟性を有する圧電材料である。また、有機電極などを使用することにより、透明性のある圧電材料を製造できる。

また、関大の研究により、ポリ乳酸はある一定の純度を超えると圧電性が飛躍的に向上することが解明されており、帝人の有するポリ乳酸精製技術から生まれた高純度PLLA及びPLDAを使用することにより、より高い圧電効果を発揮できる。

今回開発した圧電材料は、高い圧電性能に加えて、透明性や柔軟性を有し、大型化が可能な環境配慮型の新規圧電材料として、従来のPZTでは対応が難しかった部位での圧力や振動、衝撃などを感知するセンサー用途や、超音波モーター、医療用超音波振動子、スピーカーなどにおけるアクチュエータ用途など、幅広い用途での実用化に向けた研究開発を今後進めていく方針である。