2012年09月18日
高橋・日化協会長コメント「原発ゼロ」に強く反対
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学工業協会
高橋恭平会長

日本化学工業協会の高橋恭平会長(昭和電工会長)は18日、政府が14日に「2030年代に原発ゼロ社会を目指す」と明記した「エネルギー・環境戦略」を決定したことについて、「原発ゼロは、国内産業基盤の脆弱化につながり、日本経済へのダメージが大きい」と、強い不満を表明するとともにいくつかの矛盾点を指摘、今後のエネルギー・環境政策に対して具体的対応を求めるコメントを発表した。

【高橋恭平・日化協会長のコメント】
(1)「原発ゼロ」は国内産業基盤の脆弱化につながる
エネルギー源の大部分を国外資源に依存しているわが国で、原子力発電をゼロにすることは、エネルギー源の構成が再生可能エネルギーと火力のみとなり、エネルギー安全保障の視点から、海外の地政学的リスクの影響が増加することになる。
日本の化学産業は、先端材料といえども海外との熾烈な競争に晒されており、エネルギーの安定供給の前提が足元から崩れることは、安全・安定操業の維持やコストの面から国内立地を危うくすることが懸念される。
また、中小企業も含め化学企業が海外シフトすることにより技術の海外流出も懸念される。
すなわち、製造・開発拠点の国内立地が益々困難となり、国内産業基盤の脆弱化、国内雇用の減少により日本経済へダメージを与えることになる(グラフ参照)。

(2)省エネルギー、再生可能エネルギーへの化学産業の貢献について
これからの省エネルギー、再生可能エネルギーの具体化には、先端材料開発から高機能材料の製造・プロセス開発等、化学産業が担う役割は大きいと認識している。そのためには、安定したエネルギーと研究開発リスクの低減化が必要である。一企業、業界の努力を超える安定エネルギーの確保、エネルギーコスト課題、研究開発投資リスクについて、あらゆる政策資源を投入し、産業の競争力強化を支えるインフラを構築していただきたい。

(3)具体的施策のロードマップの明確化と不断の見直し
エネルギーと環境政策について、地球温暖化対策や化石燃料等の原料調達、研究開発・技術開発等、国内外の課題が山積している。これらの課題と対応策を丁寧に検討・検証し、具体的ロードマップを明示するとともに、国内外の様々な変動に対し、不断の見直しをする仕組みを確立していただきたい。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1347946991.docx