2012年10月17日
富士フィルム、「サラシア」にインフルエンザ免疫調整作用
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは17日、京都府立大学と共同で、糖の吸収抑制効果で知られている「サラシア」属植物抽出エキスを摂取すると、免疫力の指標となるNK(ナチュラルキラー)細胞の活性が高まり、インフルエンザ感染時の症状が軽減されることを、マウスを用いた免疫学的・病理学的解析によって実証したと発表した。

同社はこれまで独自のナノ技術や解析技術をベースに、有用成分の高濃度抽出・安定化をはじめ、有用成分の新たなメカニズム解明などを行ってきた。サラシア属植物についても、抽出エキスを摂取することで腸内環境が改善され、生体内の免疫力が高まることをすでに確認済みである。

免疫力が適正に調整されることにより花粉症などのアレルギー抑制効果が期待されているが、今回、インフルエンザ感染時の症状軽減という新たな研究成果が得られたことで、さらに次の応用検討に取り組む方針だ。

<用語の解説>
■サラシアとは :
 インドやスリランカなど南アジア地域に自生するデチンムル科のサラシア属植物(Salacia reticulataなど)の総称で、インドに古くから伝わる伝承医学(アーユルヴェーダ)では初期の糖尿病治療に使用されてきた。最近では、サラシア属植物抽出エキスに含まれるサラシノール、コタラノールなどが、腸内でオリゴ糖の分解を促進する酵素(α-グルコシダーゼ)の活性を阻害することが確認されている。サラシア属植物抽出エキスを摂取することで小腸での糖の吸収が抑制され、血糖値の上昇を抑える効果があることが明らかにされている。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1350457615.pdf