2000年12月21日
三菱レイヨン、アクゾと塗料、印刷インキ用高機能樹脂分野で提携
両社の技術などを活かし、グローバルオペレーションも視野に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンは21日、オランダのアクゾノーベルレジンと、塗料・印刷インキ用用途における高機能樹脂分野において、開発と事業運営面について協力しあうことを決め、パートナーとしてステップバイステップでグローバルな戦略的提携を築いていくことで合意した、と発表した。
 アクゾは、アクリル、アルキド、メラミン樹脂など、広範な材料を有し、特に印刷インキ分野では世界2位の総合樹脂メーカー。欧州における厳しい環境規制のもとで、いち早く水性樹脂などの開発に取り組んでいる。一方、三菱レイヨンは、アクリル系樹脂のメインサプライヤーとして、自動車トップコート塗料用樹脂をはじめ樹脂製品や繊維などの分野に展開すると同時に、国内自動車業界で要求される品質基準などへの対応技術を含め、市場で多くの経験を培ってきた。
 塗料、インキメーカーなどのユーザーは、現在、急速にグローバル化を進めており、これまで以上に、世界規模でで迅速な対応が可能な供給網整備の必要性や新たな高機能樹脂の技術開発のスピードアップが問われつつある。こうしたことから三菱レイヨンは、既に技術ライセンスなどを行ってきたアクゾと戦略的提携を結ぶことにしたもの。その第一ステップとして、両社で協議した結果、2000年11月から共同研究開発をスタートさせている。
 共同開発のメイン課題については、近年VOC(揮発性有機化合物)削減や環境負荷物質対策など、環境に優しい材料に対する要求が地球レベルで高まるなか、従来国レベルでの規制が明確で無かった日本でも、大手自動車メーカーによるゼロエミッションへの取り組みが始まっていいる。特に自動車塗装の分野では、有機系溶剤削減に向け水性塗料用レジン、ハイソリッド型塗料用レジン、粉体塗料用レジンへの切り替えが、世界レベルで急がれている。日本ではまだ高い比率を占める、ローソリッドといわれるVOCの高い自動車塗料用レジンは、欧州で急速に低減化が進み、米国ではほぼ使用されなくなっている。このような状況の中、日本の自動車メーカーにおいては、上塗り塗料について、大幅なVOC削減の方針が打ち出されている。具体的には、最も有機溶剤比率の高い着色層用は、水性塗料用レジンが低VOCを達成できる材料として最有力といわれ、本格化すると見られている2005年に向け早期開発が求められている。しかし、日本では、年間の温・湿度変化やメーカー合格基準の高さから、まだ最適商品が開発されていないのが現状。この課題の打開に向け両社は、それぞれの保有する技術と知見をあわせるとともに、迅速な商品開発を目指す。
 なお、将来の共同研究については、塗料や印刷インキ用途における戦略的キーワードは、エコロジー(環境)であることから、両社はこのニーズに注力していく考えで、水系塗料用レジンだけでなく、粉体塗料、UV塗料なども対象としている。さらにこれに続く取組みとして、欧州、米国に拠点を持つアクゾノーベルレジンと、米国、タイ、インドネシアに拠点をもつ三菱レイヨンとのビジネス全体のシナジー効果につながると同時に、グローバルオペレーションも視野に入れながら、提携による相乗効果を最大限に生かしていく方針。