2012年12月10日
宇田川東ソー社長・会見「来年度の回復に期待」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:東ソー
宇田川憲一社長

東ソーの宇田川憲一社長は7日の記者会見で、今年度上期の業績を総括して「現在、当社を取り巻く環境は厳しいが、来年度には明るい展望が開けてくるだろう」と見通しを語った。

同社はクロル・アルカリ(化学品)、石油化学、機能商品が事業の3本柱。このうち、クロル・アルカリ事業では、今年7月に完全子会社化した日本ポリウレタン工業が中国市場の需要の増加に対応して生産能力の増強など、活発な展開を図っており、東ソー本体との一体運営に伴う効率化なども期待できる。「ウレタン事業の一挙の黒字化は困難としても、来年度は水面上に浮上はできそうだ」と力を込めた。

また、機能商品事業では、「2013年度時点の生産能力はエチレンアミンや試薬が2008年度比1.5倍以上、ジルコニア、トヨパールは約2倍、ハイシリカゼオライトは3倍以上に拡大、さらに、化学合成法マンガン酸化物の新設も加わり、強力な事業展開が期待できる」と意欲を見せた。

とくに機能商品事業は、「売上高構成比は20%弱だが、営業利益構成比では5割を超えている」との点を期待の大きい理由に挙げた。

今後の事業戦略については「世界的な景気低迷は、まだ続くと見なければいけない。設備投資も国内ではイノベーション関連中心になる。コモデティ投資は日本では無理だ。ただ海外ではチャンスがあればやりたい。げんにスタディ中のものもいくつかある」と含みをもたせた。

最近の中国との関係悪化については「現地生産しているのが素材なので、不買運動など直接の影響はない。ただ自動車などの販売が落ち込めば、間接的に効いてくる可能性はある。いずれにせよ、中国での大型投資はしばらく時期を待たないといけない。他のロケーションも検討することになるだろう」と、表情を引き締めた。