2012年12月25日
理研、血中のがん細胞を高感度で捕捉 ナノデバイスを開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所(野依良治理事長)は25日、血液中を循環するがん細胞を高感度で捕捉し、そのがん細胞を生きたまま剥離できるナノデバイスを開発したと発表した。簡便な検査方法により患者の身体的負担の低減に貢献すると期待される。

血中に存在する循環腫瘍細胞(CTCSと呼ばれるがん細胞)の量を正確に捕捉して検出できると、転移性のがんの経過観察や治療効果の早期判定に有効である。また、捕捉した細胞を生きたまま剥離できると、その後の詳細な解析が可能になる。

今回、ナノ構造による高い検出能、抗体に由来する高い抗原選択性、温度応答性高分子の伸縮特性を生かした温度変化による細胞の補足と剥離を可能にした。実際に、健常者の血液1mlに10-1000個程度のCTCSを添加した疑似サンプルで評価したところ、37℃のもとではCTCSだけを70%以上捕捉し、その後4℃まで冷却すると約90%のCTCSを生きたまま剥離できた。

今後、さらなる高感度な捕捉が実現できれば、血中に極微量存在するCTCSの正確かつ詳細な診断が可能になり、進行性や転移性のがんのモニタリング、治療後の経過観察に威力を発揮すると期待される。