2013年01月10日
理研、高効率・低コストの太陽光発電システム開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所(野依良治理事長)と民間企業のダ・ビンチ(本社:奈良県大和高田市、東譲治社長)は10日、朝日から夕陽まで、太陽光の光熱エネルギーをフレネルレンズで効率よく回収し、蓄熱タンクに貯めた水を加温、必要に応じてこの熱を取り出して発電と給湯ができる「熱電併給システム」を開発したと発表した。

太陽光を利用して発電する代表的なシステムにソーラーパネルがあるが、光電変換効率は20%前後であり、天候によって発電量が左右される、蓄電装置のコストが高い、廃棄するときパネルに含まれる重金属を分離する技術が未確立などの課題がある。

今回、同心円状に刻んだ溝で効率よく集光できるパネル型のフレンチネルレンズを立方体状に組み合わせるとともに、立方体内部にはアルミ合金でできた逆T字型の熱交換機を置き、水平から垂直方向のどの方向からの光熱エネルギーも逃がさない構造とした。

このシステムは、高額な太陽光追尾装置や駆動部が不要である。また、太陽光という変動の大きい光熱エネルギーをいったん水に蓄熱することで安定的に保存し、必要な時にいつでも使えるようにした。

今後、地方自治体などと連携し、遊休地を利用した中小規模の分散電源としての活用を図っていく計画で、2013年中に出力1kWの試作機を、2014年には10kWの実証システムの完成を目指している。