2000年12月14日
ABS樹脂、3次値上げ打ち出しは年明け以降の見通し
今後の市場環境を見ながら検討
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ABS樹脂は、10月に各社の値上げが出揃ったPS(ポリスチレン)に続いて、3次値上げが打ち出されると見られていたが、需給や市況などの環境が良くないとして、来年以降に持ち越される見通しだ。
 国内ABS樹脂メーカーはこれまで、昨年末と今春に2度の値上げを実施しているが、「原料高騰分を充分に吸収できたとは言えない」(大手ABS樹脂メーカー)のが実情で、今秋以降の原料高騰がさらに各社の採算を圧迫している。
 しかし、ABS樹脂の出荷は、9月、10月と2カ月連続で国内向け、輸出とも前年同月を割り込んでいる。特に国内向けでは、最大用途である電気器具向けがここに来て低調なほか、春先に新型ゲーム機の発売で増加が期待されていた雑貨向けも7月以降前年割れの状態が続いている。
 海外に目を向けると、アジアの市況は春先に一時トン当たり1,200ドルを越えた後下落、9月から再び上昇したものの、主原料の市況軟化にともなって現在は1,000ドル前後で推移している。
 現在、唯一電気化学が、10月21日出荷分からキログラム当たり15円の3次値上げを打ち出しているが、「まだ、値上げを打ち出せる環境にない」というメーカーもあり、実際に本格化するのは、中国の旧正月前後の状況などがある程度見えてくる年明け以降となりそうだ。