2013年03月18日
韓国大林産業のタンク爆発、「点検作業強行が原因?」
【カテゴリー】:海外(環境/安全)
【関連企業・団体】:なし

3月15日に韓国・麗水の大林産業のHDPE工場で爆発事故が発生し、協力会社の社員ら6人が死亡し、11人が重軽傷を負った。

  既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile/NCODE/36563

HDPEを入れる500トン級の大型タンクが爆発した。爆発と共に火災が発生したが、大きな火事には至らず10分後に消し止められ、連鎖爆発は免れた。

工場は3月12日から4月5日までの定期修理の予定で、問題のタンクでは下請けの17名が保守作業を行っていた。

韓国各紙の報道によると、状況は以下の通り。

高さ3mの所で7名が内部検査のために穴を開ける作業をしており、高さ30mの最上部で9名が足場設置をしていた。(他に地上に1名)

穴を開けるための溶接の火花がポリエチレンの粉じんか残留ガスと反応して爆発を起こしたとみられる。

爆発で上部のアルミニウム製のふたや鉄骨製の構造物が吹っ飛び、最上部で足場の設置を行っていた作業員全員が爆風に吹き飛ばされ、6名が死亡、3名が重傷となった。下部の7名も全員、重軽傷を負った。

作業時間は通常は午前8時から午後5時までだが、事故当日は午後10時までの予定で夜間作業を行っていた。
現場作業員は「大林産業が生産ラインを早く稼働させるため、作業期間の短縮を指示し、無理に作業をさせた」と話した。

また、作業員は「通常はガス除去作業を行った後、危険物質が抜けるのに3-7日を要するが、今回は点検作業中にも下部でガス除去作業を続けていた」としており、貯蔵塔の可燃性ガスが完全に抜けきっていないのに作業をさせていたと見られる。

粉じんやガスなどの危険性に関する安全研修は一度も行われなかったという。

1967年に造成された麗水産業団地には多くの石油化学企業が集まっているが、40年以上経った老朽施設が多く、人命被害事故が相次いでいる。

事故発生のわずか11時間前には、全羅南道地方警察庁長と麗水市の副市長、同団地の工場長協議会長ら各機関のトップ20人余りが懇談会を開き、事故防止策を協議していた。