2000年12月07日 |
中東とアジアで大型石化設備が相次ぎ稼動開始 |
シンガポールでも22日にエチレン装置が操業入り |
【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:三井物産、三菱化学 |
三井物産など大手商社および三菱化学などエチレンセンター筋によると、中東とアジア地域で建設中であった大型エチレンプラントと各種誘導品設備が相次いで完成し、稼動を始めた。サウジアラビアのペトロケミヤの第3号エチレン装置が予定通り今月中旬に完成すると、当面予定されていた一連の大型新・増設は一通り完結することとなる。これに伴い、タイト化していたアジア地域の石油化学製品全体の需給バランスは年明け以降大きく変わることになる。 今年に入ってからの中東・アジア地域における大型石油化学プラントの新・増設は、インド・IPCLによる年産(以下同)30万トン能力のエチレンプラントの完成・稼動が皮切りとなった。その後、同じインドのハルディアが42万トンのエチレンプラントとHDPE(20万トン能力)ならびにL-LDPE/HDPE(23万トン能力)の両ポリエチレン装置を完成して6月から稼動に入り、同時にマレーシア・タイタン、台湾・FPC、同・南亜、フィリピン・BPCなどがVCM、EG、L-LDPE、HDPE--などの誘導品の大型設備を次々と完成、そして第4・四半期における集中的な新・増設工事の完工へと移ってきた。 第4・四半期に入ってから現在までに完成・稼動入りした大型の石油化学プラントはエチレンプラントだけでもサウジアラビア・ヤンペットの80万トン装置と同・ケミヤの70万トン設備、そして台湾・FPCの90万トンプラントの計3基を数える。続いて今月22日にはシンガポールのエクソン・モービルによる80万トン設備が稼動を開始、さらに今月中にサウジのペトロケミヤの80万トンプラントが操業入りする見通しにある。 これに伴い、中東・アジア地域のエチレン供給能力はこの四半期だけで合計年間400万トン分増えることになる。この1年トータルの増加規模は、韓国や中国などの小規模の増設を含めると513万トンに達すると見られる。当然のことながら、大型エチレンプラントの新・増設には大型の誘導品プラントの新・増設が付随している。 こうした結果、当面、アジア地域の石油化学製品の需給バランスに大きなギャップが生じることになるのは避けがたいと見られる。中東勢がこれまで以上に大量のオレフィンと誘導品を中国を始めとしたアジア市場に投入してくるのが必至と予想されるのでなおさらだ。わが国の石化企業の中には、汎用樹脂や主要化成品の輸出依存度がかなり高いところも少なくない。こうしたところを始めとして業界全体が来年は量的な面で大きなプレシャーを受けると同時に価格競争の激化による市況の低迷にも悩まされることになりそう。 http://www.c-nt.co.jp/news/00_ethylenpj.html" target=top>中東・アジアの2000年エチレン大型計画 |