2000年12月06日
積水化学、ケミトロニクスと半導体製造装置事業に参入
真空装置不要/ファインピッチ対応の新技術~来年度他分野にも展開
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:積水化学工業

 積水化学工業は6日、機能性プラスチックス事業で開発した技術を半導体製造装置プロセスに応用・開発した新技術を用いて、ケミトロニクスと共同で半導体製造装置事業に参入する、と発表した。新技術は、機能性プラスチックス開発の一環としてドライブプロセスとしてのプラズマ技術の開発した技術を応用したもので、具体的には現在低圧プラズマが使われている半導体製造プロセスにおけるCVDおよびエッチング装置事業に展開する。
 現在主流となっている低圧(真空)プラズマによるCVDおよびエッチング装置の市場規模は約1兆円と推定されているが、今回の新技術はこの低圧プラズマ技術に比べ生産性や投資額などの面ではるかに優れているという。具体的には、(1)従来の低圧プラズマと異なり、革新的連続プロセスが可能、(2)シリコンウェハの大型化(直径300mm)と高集積化に最適、(3)成膜速度や処理速度が低圧プラズマより1桁以上速い、などの特徴がある。
 また最近、ICパッケージなど半導体以外の限定された分野の洗浄用として、ヘリウム(He)を使った常圧プラズマ技術が提案されているが、これに比べても、(1)空気、窒素、アルゴンなどの安価なガス雰囲気でもプラズマを発生するため、ランニングコストが10分の1~100分の1に抑えることができる、(2)常圧下でのプラズマの安定性が高いため、広幅領域での高速処理が可能、(3)ハイパワーで高密度処理が可能(薄膜形成可能)、(4)Heプラズマは、Heが99%必要(その他使用ガスがわずか1%)だが、新技術では空気中でもプラズマがが安定するため、多種多様な処理ガスを選択可能、などにより差別化できるという。
 なお同社は、この新技術が半導体製造装置以外でも有用性が高いことから、今回の半導体製造装置事業と同様、積極的な展開を行う考えで、多層回路基板用のデスミア処理や反射防止コート光学フィルムなどを来年度から事業化する方針。