2013年05月07日 |
「世界のエチレン・供給過剰へ」 経産省 石化製品需給動向 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:経済産業省 |
経済産業省はこのほど、2017年を見据えた「世界の石油化学製品の需給動向」(2004年~2017年)をまとめた。製造産業局化学課(宮本昭彦課長)が事務局となり、メーカー、商社、金融機関などで構成する専門のワーキンググループを設置して、エチレン系、プロピレン系及び芳香族製品を中心に調査・集計した。 この中で、石化製品の需要は引き続き中国、インドの伸びが顕著で、「両国の世界需要に占める割合が高まる」と予測。一方、生産は中東の増設や、シェールガスを利用した米国での新増設によって「供給超過の状態が継続する」と強調している。 ■エチレン系誘導品 <需要> ・2011年の世界のエチレン系誘導品の需要は、原油の高止まりなどから伸び率が前年比2.4%増にとどまり122.7百万トンだった。 ・2012年以降は、欧州金融不安の影響などは残るが、各国の見通しを積み上げると2017年末の需要は153.1百万トン(年率3.8%)に増加する見通し。 ・地域別に見ると中国(年率4.8%)とインド(同7.4%)に引っ張られてアジア地域が年率4.5%増と大きく伸びる。年平均4.5%。CISは6.6%、中南米3.0%、欧州は1.2%の伸びで推移する見通し。 <生産能力> ・世界のエチレン系誘導品の生産能力は2011年末時点で149.6百万トンだった。17年までに稼動する可能性の高い設備を合計すると182.1百万トン(年率3.3%)に増加する見通し。 ・エチレンで見ると、生産能力は2011年の146.3百万トンから17年末には185.6百万トン(年率4.0%)に増加する見通し。増加幅で見ると中国、インド、北中南米がそれぞれ10百万トンを超えると予測される。 <需給バランス> ・日本のエチレン系誘導品の需要(エチレン換算)は、2011年の実績5.1百万トンから、一定程度の経済成長を見込んでも17年で4.9百万トンと見込まれる。 ・中国の供給(エチレン換算)は11年の16.5百万トンから17年には25.2百万トンと8.7百万トン拡大する。一方需要は17年には40.6百万トンと9.9百万円トン増加する。このため需要超過幅が1.1百万トン拡大すると見込まれる。 ・世界全体で見た需給バランスは11年の4.9百万トンの供給超過から17年には6.8百万トンの供給超過へと推移する見通し。 ■プロピレン系誘導品 <需要> ・世界の需要は2011年の81.7百万トンから17年には110.0百万トン(年平均5.1%)に増加する見通し。 ・地域別では、アジアが年平均6.3%(うち中国7.6%、インド12.7%)と大きく、アジア全体のプロピレン系製品の需要増加幅はプロピレン換算17.7百万トンとなる。 <需給バランス> ・日本の需要(プロピレン換算)は11年の4.2百万トンに対して17年4.3百万トンと同一水準で推移する見込み。 ・中国の需要超過幅は6百万トン前後の水準が継続すると見られるが新増設計画の実現性が不透明。 ・アジア全体では需要の増加に供給が対応できず、17年には需要超過幅が2.2百万トンに達すると予測される。 ■芳香族及び誘導品 <世界の需給> ・2011年の世界の芳香族製品の需要は、ベンゼン39.8百万トン(前年比▲2.4%)、トルエン21.5百万トン(5.6%増)、キシレン39.8百万トン(6%増)だった。 ・2011~17年の生産量の年平均伸び率予測はそれぞれ3.4%、2.7%、4.1%となった。需要は引き続き中国が牽引すると予想される。 (注)ケムネット東京では「資料室」に全データを収録しました。 http://www.chem-t.com/link/graph/oil/ |