2000年04月12日 |
日本車輌製造/アイエス、PETボトル再生処理事業に参入 |
6月にパイロット設備/2001年末に本格設備が完成 |
【カテゴリー】:環境/安全 【関連企業・団体】:NEDO |
日本車輌製造とアイエスは12日、PETボトルの完全循環型ケミカルリサイクルプラントを事業化する、と発表した。今年6月の完成予定で、パイロットプラントを建設、さらに両社デ設立した処理事業会社日本ポリエステルリサイクルが、第一工場として2001年末をめどに日本車輌製造・大利根製作所内で年間処理能力2万2,000トン設備を建設、PETボトル再生処理事業に参入する。 今年は循環型社会の幕開けの年といわれており、循環型社会基本法や食品廃棄物リサイクル法などの新法や廃棄物処理およびリサイクル関連法の改正などが国会で審議される。また今月から容器包装リサイクル法が完全実施された。こうした中でPETボトルは、同法の対象品目として、すでに3年前から先行してリサイクルが実施され、社会に定着しつつある。しかし、リサイクル意識の高まりからPETボトル収集量は年々増加しているものの、その再生品の販路には限界があり、リサイクルの輪が今後ともうまく拡大しつつ、回っていくかどうかについて危惧されている。 こうしたなかで、ベンチャー企業のアイエスは「PETボトルの循環型リサイクル基礎技術(アイエス法)」を開発した。これら一連の基礎技術において日本車輌製造の分子蒸留装置技術がキーテクノロジーとなっている。アイエス法はPETボトルから食品用PETボトルに再生できる画期的な技術であり、このほど国からも技術開発面において支援を受け、実用化の目処を立てた。 こうしたことから日本車輌製造とアイエスは、同技術に関し提携し、プラントの製造・販売事業および処理事業会社として日本ポリエステルリサイクルを設立、再生処理事業に参入するもの。 当面の事業計画については、日本車輌製造がプラントの製造・販売事業を担当、日本ポリエステルリサイクルが同プラントを用いて再生処理事業を行う体制で進めていく。事業化にあたり、まずアイエス法の応用と商業プラント化に向けてパイロットプラントを建設する予定で、通産省の出資助成を受けた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として行う財団法人クリーン・ジャパン・センター(CJC)の開発事業にアイエスが協力、日本車輌製造・大利根製作所内に建設する。 次に日本ポリエステルリサイクルの第一工場として、2001年末の完成をめどに廃棄PETボトル処理量2万2,000トン/年(再生製品2万トン/年)の商業プラントを建設する考え。なお建設地はパイロットプラントの建設地と同じ日本車輌製造・大利根製作所内を予定している。設備投資額は60億円程度の見通し。 アイエス法の特長は、(1)廃ポリエステルを化学的に分解、精製し、再度ポリエステル合成原料とするケミカルリサイクルのため、繰り返し再生可能な完全循環型リサイクル法である、(2)PET化学分解に利用する熱源の温度は200~220度程度で、物質の燃焼もなく、副産物を発生しない、(3)品質的にバージン品との差異がほとんどなく、コスト競争力にも優れる、(4)処理工程中で脱色が可能なため、色付きPETボトルを選別する必要がない、(5)異なる種類のプラスチックを工程中で取り除くことが可能で、PETボトルのキャップもはずす必要がなく、分別収集の労力、コストを削減できる、など。すでに基礎的な技術開発は完了しており、基本特許および周辺特許10数件を申請済み。また米国、EU、中国など海外10カ国でも特許を申請中。 日本車輌製造によれば、今年のPETボトル生産量は36~38万トンと予測され、このうち約10万トンが市町村により分別収集(リサイクル率29%)と推定されている。この程度の分別収集量であれば、現行のマテリアル法でも対処できると思われるが、今後はPETボトルの利便性(軽い、美しい、破損しない、衛生的など)から、生産量のさらなる増加が予想され、今後5年間で生産量は50万トン、分別収集量は25万トン(収集率50%)程度になると予測している。 現行のマテリアル法による再生品の用途開発は、年間10万トン強が限界と見られており、今後5年間でアイエス法によるリサイクル処理が、最低でも15万トン以上必要になる。同社ではアイエス法が実用化されても、現行のマテリアル法リサイクルは必要であり両法の共存を基本姿勢とすべきであるとしている。 また欧米ではビール瓶のPETボトル化が始まっているが、今後日本で本格的に導入された場合には、年間40~50万トンの需要になると見られている。さらに牛乳のPETボトル化が認められれば、これに15~20万トンの需要が加わる計算となる。 このような需要予測を踏まえると、リサイクルプラントの需要はプラント処理能力を年間2万2,000トンとした場合、今後5年間で最低5~7基は必要になると見られる。 <参考>アイエス法導入後の生産・再生フロー http://c-nt.co.jp/news/is.jpg""> |