2000年12月04日
プラ協、技術開発支援成果の報告会開催
関大の芝田教授ら4人が開発成果を発表
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:プラスチック処理促進協会

 プラスチック処理促進協会は4日、東京・港区内の同協会会議室で「2000年度 技術開発支援事業成果報告会」を開いた。
 これは、同協会が大学や研究機関、さらには関係民間企業などを対象に毎年実施している廃プラスチック処理に関する技術開発の支援事業の98年度と99年度の成果について開発研究の当事者から報告を受けたもの。
 この日研究開発成果を発表したのは、関西大学工学部化学工学科の芝田隼次教授、(株)鐵原の室蘭支店ガスコークス工場の田中秀雄氏、高瀬合成化学(株)の高瀬岳雄代表取締役、福岡大学工学部の中野勝之教授--の4氏。

 各氏の研究開発テーマと報告要旨は次の通り。
 [芝田隼次氏]=「プラスチック混合物からの塩化ビニルの除去とシュレッダーダストからのプラスチックの分類」比重差ではなく固体表面の性質で分離する浮選法分離は、コストが安く大量処理に適している。この方法によってPVCをPETから分離することが可能であることを確認できた。今後は、プラスチック混合物からPVCの分離、さらにはシュレッダーダストからのプラスチック成分の分離後にその中からPVCを分離して高炉やセメントあるいはRDF等の原燃料としての活用を目指して開発する。
 [田中秀雄氏]=「農ビからの塩酸の回収・精製・濃縮技術開発および添加物除去技術の開発」農ビを分解、脱塩素化し、塩酸として濃縮して自社で鋼材表面処理剤用に利用する。また、添加物のフタル酸エステル除去技術を開発するとともに、脱塩酸後の樹脂を自社でコークス原料およびボイラー燃料として使用することを目指して開発する。
 [高瀬岳雄氏]=「塗装付き廃プラスチック部品の低価格リサイクル技術の開発」機械式により薬液を使用せずに塗装バンパーの塗膜を除去する技術を開発した。バンパーを粉砕後、ミキサーの中で混合回転し150度Cていどの一定の温度で水を噴射し5分保持させることにより95%塗膜が除去できる。再生品は、バージン品のおよそ100%の物性を保つ。コストも従来の約5分の1。
 [中野勝之氏]=「PET樹脂を含む混合廃プラスチックの油化」熱分解で邪魔なPETをPEやPPと混合して、チタニア/シリカ触媒で油化する技術を開発する。同触媒を利用してフタル酸等の昇華性固体を生成することなくPET樹脂を油化できる技術を開発する。