2013年05月10日
理研、骨・関節、皮膚を犯す難病の原因遺伝子を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所(野依良治理事長)は10日、北海道大学大学院との共同研究グループが、骨や関節、軟骨、靭帯、皮膚など広い範囲の組織で異常を引き起こす一連の遺伝性難治疾患の原因が、グリコサミノグリカン(GAG)という糖鎖の合成に重要な「B3GLT6遺伝子」であることを発見したと発表した。

共同研究グループは、脊柱の変形や関節の脱臼など、重度の骨格異常を起こす原因不明の遺伝性難治疾患「関節弛緩を伴う脊柱端骨幹端胃異形成症Ⅰ型(SEMD-JL1)」の患者6家系の遺伝子を次世代シーケンサーで解析し、同遺伝子の変異を発見、その酵素機能が喪失していることを見いだした。

さらに、SEMD-JL1と似た骨格異常に加えて、皮膚の萎縮や過伸展、筋緊張低下がみられるため、従来は全く別の疾患と考えられていた先天性結合組織疾患の1つ「エーラス・ダンロス症候群早老性型」の患者にも、同様の遺伝子変異を発見した。

今回、同遺伝子の機能障害でGAT結合領域が正常に合成できないと、骨、軟骨、靭帯、皮膚など多様な組織で異常を引き起こすことが分かった。これは、難病の原因の1つを発見しただけでなく、「GAG結合領域病」という新たな疾患概念を提起するとともに、その病態解明に向けた第一歩になるとみられている。