2000年12月04日
三菱化学、来年1月12日に四日市事業所のエチレンを停止
EO・EGは15日に停止/今後は高収益な技術開発型事業所をめざす
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学は4日、四日市事業所のエチレン年産27万トン設備について、2001年1月12日に停止する、と発表した。これにともないエチレン生産は、水島および鹿島事業所に集約、オレフィンコストの大幅削減を図る。また、設備停止後も、四日市コンビナート各社の誘導品事業や四日市事業所に対し、エチレン、プロピレンなどを水島、鹿島両事業所からの移送などにより、供給を継続する。これにともない四日市事業所は、高収益な技術開発型事業所をめざし、機能商品分野やエンジニアリングプラスチックなど川下分野の事業展開に力を入れていく考え。
 四日市事業所は、日本の石油化学勃興期である1959(昭和34)年5月に年産2万2,000トンのエチレン設備を建設、その後も石油化学産業の発展とともに設備の新増設を行ってきた。現在のエチレン設備は、1968(昭和43)年3月から30年以上にわたって稼動を続けてきたが、今年半ば以降は、サウジアラビア、台湾、シンガポールなどアジアにおける大型エチレン設備の新増設により、オレフィンおよび誘導品の輸出が厳しくなること、さらに2004年には主要石化製品の関税率の大幅引き下げなどにより、今後は内需の伸びが期待できないことから、同社はエチレン生産体制の見直しを行い、四日市事業所のエチレン設備の停止を決断した。
 また、四日市事業所のエチレン設備の停止にあわせ、同事業所のEG(エチレングリコール)およびEO(エチレンオキサイド)設備についても、来年1月15日に停止し、生産を鹿島事業所に集約する。EGについては、国内販売を継続、輸出分は海外品の手当などにより対応する。EOは、鹿島事業所から四日市事業所に移送し、中部以西のEO販売および四日市事業所におけるEO誘導品の生産を従来どおり安定的に継続する。
 三菱化学は、2000年度からの3ヵ年にわたる「中期計画」において、石化事業をグループの屋台骨を支える基幹事業分野に位置付けており、「選択と集中の方針」の下、従来から取り組んできたアライアンスを含めた事業構造改革の完遂と徹底的なコストダウンにより安定収益の確保と、コア事業における国内市場-国内事業(内-内)、海外市場-海外事業(外-外)の基本戦略により、収益確保のための成長戦略を展開していく考え。
 なお、同社の四日市事業所は同日、「高収益な技術開発型事業所をめざして」と題したコメントの中で、「当事業所では、来年1月、エチレンプラントと一部誘導品プラントの操業を停止しますが、一方でPTMG(ポリテトラメチレングリコール)増設プラントの立ち上げを既に完了、現在も食品用乳化剤POGE(ポリグリセリン脂肪酸エステル)のパイロットプラントを建設中であるなど、今後とも機能商品分野での更なる事業展開を進めてまいります。さらには、グループ会社によるエンジニアリングプラスチックス樹脂製造設備の建設やOA機器リサイクル事業の開始など、川下分野での事業計画が具体的な形で進んでおります」としている。

<参考>
三菱化学のエチレンおよびEO/EG生産能力(単位:千トン/年)
http://c-nt.co.jp/news/mcc_yk.jpg>
※エチレンは定修年の生産能力