2000年12月01日 |
日本合成化学、英国でEVOH1万5,000トン設備新設を計画 |
100億円投じ2003年3Q稼動/欧州R&D強化 |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:日本合成化学 |
日本合成化学工業は1日、英国ヨークシャーハンパー地域(Hull)にあるBPケミカルの工場敷地内に絞り、年産1万5,000トンのEVOH(エチレンビニルアルコール共重合樹脂、商品名:ソアノール)工場新設を検討していることを明らかにした。欧州における販売・R&D体制を強化すると同時に、新設備建設により年率15%の成長が予想される欧州地域の需要に対応する考え。 今回のサイト内でBPケミカルは、2001年完工予定でEVOHの原料である酢酸ビニルモノマー(VAM)新設備(年産25万トン)を建設中であるほか、最近完工したパイプラインからエチレンと調達することができるため、日本合成化学の新設備にとって優位性があると見ている。今回のプロジェクトの総投資額は、欧州におけるR&D活動の強化を含め約100億円(9,000万米ドル/6,500万ポンド)を予想している。日米の設備で培った技術に加え、新技術を投入することにより、建設費の大幅な削減を図る考えで、2001年3月に計画を最終決定、現地で計画許可を取得した後直ちに着工する予定。新設備の完成により、同社の生産能力は、日米欧の3極合計で現在の年産3万トンから、4万5,000トン体制に拡大する。 また新プラントの運転要員は50人を超える見通しで、さらに建設中は一時的に相当数の雇用(請負仕事)を生み出すことになるとしている。日本合成化学は、今回の欧州新立地にあたり、その他の潜在的な候補地も検討してきたが、さらに詳細なFS(事業化調査)を進めるのに最適なロケーションとして、原料供給面における優位性と英国政府からの援助の両面から、同地域を選択したもの。同地域には、主要な石化コンビナートが位置しているという地の利があることも魅力、としている。 なお、EVOHは従来、高度な酸素バリアー性と環境への配慮から、塩素系樹脂やアルミニウムに換わる食品包装材料として需要が拡大してきたが、近年はガソリンに対するバリアー性から、自動車用樹脂製タンク用途も大きく需要が成長している。また欧州地域の需要は、東欧圏を含め急成長が期待され、現在の年間1万6,000トンから、2005年には3万トン強に拡大すると予想されている。 |