2013年05月30日
田中・三井化学社長「営利目標1000億円の旗は降ろさない」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学
田中稔一社長

三井化学の田中稔一社長は30日記者会見し、当面する経営概況について説明した。13年度業績予想で営業利益見込みを280億円と、中計目標の1000億円を大幅に下回ったことについて、「残念な事故が発生し予定した構造改善計画が遅れた。だが1000億円目標の旗は降ろさない。13年度見込みの280億円も不満だ」と繰り返し、次期中計に1000億円達成を掲げる考えを示した。

中計戦略では重点強化分野として掲げた(1)健康・高齢化などの社会ニーズに対応する高機能製品群(2)自社技術をベースとする高付加価値ポリマー群(3)世界規模のフェノール・チェーン製品群の3つについて現状を説明した。

この中で、高機能製品郡への取り組みについて、メガネレンズモノマーで韓国・KOC社を買収し世界シェア№1の50%超えを実現した。歯科材料では世界6位のヘルース・デンタル社を買収し事業ポートフォリオに大きな一石を投じた。高付加価値ポリマー群では、ポリプロピレン(PP)コンパウンドで世界8極体制、生産能力94万3000トンとなり世界トップのバゼルに追いついた。

また低収益大型事業の構造改善策として、フェノール・チェーン製品群でアセトン余剰対策のAC法イソプロピルアルコール(IPA)の稼働、誘導品強化、徹底的なコストダウンで13年度末35億円の達成などを実現する。「課題は多いが、バイプロのアセトン対策などに強みを持っている。競合メーカーも少ない」と今後に自信をのぞかせた。

だが高純度テレフタル酸(PTA)はメーカーが多いだけに事業環境は厳しく、引き続きコスト競争力強化に力を入れる。ウレタン原料は「構造改革が一段落しこれから投資リターン期に入る」とした。

ポリオレフィン事業の構造改革では、ポリプロピレン(PP)プラント2系列停止、千葉の高密度ポリエチレン(HDPE)プラント停止、徹底的なコストダウンで11-12年度70億円の合理化を達成、13年度30億円を加えて累計100億円となる見通し。エチレンセンターの構造改革では千葉LLPによる最適運営体制と70%稼働でも経済的な稼働体制の構築を急ぐ。

田中社長は、わが国石油化学産業の今後について、「エチレン500万トンでも多すぎるようになるだろう。当社は京葉エチレンからの離脱で18万トン分の生産力を落としたが、住友化学、丸善石油化学両社には引き続き連携を呼びかけていきたい」と力を込めた。