2013年06月03日
昭電、マイクロ波による次世代印刷インク・装置開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:昭和電工
開発した導電性接着剤で接合したチップ

昭和電工は3日、マイクロ波加熱により電子回路を形成する印刷技術の実用化に成功し、同技術を用いた導電性インク(銀・カーボンハイブリッドインク)とインク焼成装置を製品化したと発表した。マイクロ波加熱に対応した導電性接着剤も開発した。

これにより、耐熱性の低い樹脂フィルムを用いたプリント基板(FPC)上に、印刷によって容易に電子回路の形成やデバイスを実装することができるようになった。

今後、子会社の昭光通商(本社:東京都港区芝公園、坂井伸次社長)を
通じて本格市場展開をはかる。
6月5日-7日、東京ビックサイトで開催される「JPCA Show 2013」に出展する。

■導電性インクと焼成装置
印刷技術による電子回路形成には、基板上に印刷された導電性インクを加熱処理し焼成する方法が用いられるが、インク以外の個所も高温になりやすい。耐熱性の低い基板や部品を用いるには、必要部分のみを焼成する選択加熱が必要となる。

マイクロ波は、光が照射できない陰の部分を加熱することが可能で、基板の内部に導体を形成したり、内部の部品を接合することができる。耐熱性の低い樹脂フィルムの印刷や、ロール・ツー・ロールによる連続印刷にはマイクロ波加熱が適している。

昭電は今回、東京工業大学の和田雄二教授および産総研との共同開発により、マイクロ波加熱の際のスパークの発生を抑える導電性インクと焼成装置の製品化に成功した。

■ハロゲンフリー導電性接着剤
電子部品回路の配線にはふつう、電気を通りやすくするため銀を導電剤とした接着剤が使用されてる。しかし銀にはマイグレーション(回路のショート)を起こしやすい問題がある。
今回、大阪大学の菅沼克昭教授と共同で、ハロゲンを含まない「導電性接着剤」の開発に成功し、マイグレーションの大幅低減を実現した。NEDO委託事業「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発」の一環として、昭電と産総研が開発したエポキシ樹脂製造技術をベースに接着剤として最適製品化した。

<用語の解説>
○マイグレーション:金属成分が非金属媒体の表面や中を横切って移動することで、回路のショート等が生じる現象をいう。


ニュースリリース参照
マイクロ波を活用した次世代プリンテッドエレクトロニクス用材料を開発
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1370231888.pdf

(英文)
SDK Develops Microwave-based New Materials for Printed Electronics
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1370231888.pdf

導電性接着剤に用いる塩素フリーの高純度エポキシ化合物を開発
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file3_1370231888.pdf