2000年12月01日
積水化学、3社と共同で金型最適設計ナビシステムを開発
専門家のノウハウを再現
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:積水化学工業

 積水化学工業は1日、日本エスエムシー、エンジニアスジャパン、プラメディアリサーチと共同で、製品設計者や金型設計者が射出成形金型設計の最適化を容易に行うことが可能なCAEナビゲーションシステムを開発した、と発表した。
 コンピューターを用いたエンジニアリング(CAE)は、射出成形分野においても金型内への樹脂の充填、冷却などの設計手法としてプラスチック業界で活用されてきた。しかし、CAEは高度な専門性が必要で、専門家に依頼するのが一般的なことから設計の後追い評価手法としての利用にとどまっていた。このため、設計者自らがアクティブに活用できるシステムが望まれていた。
 今回開発したナビゲーションシステムは、設計者自身が、CAEを使ってどのような樹脂や金型に対しても最適設計を行うことができる環境を提供するため、(1)射出成形金型設計のためのCAEを誰でも行えるようにする、(2)最適設計のための手順を自動化し、スピードアップを図る、(3)信頼性の高い解析結果を常に得られることをコンセプトに開発した。
 ソフトの特徴は、(1)専門知識を必要とせず、導入した日から使用が可能な対話形式、(2)CAEの専門家のノウハウをプログラム化しており、専門家レベルの最適設計を従来より短時間で計算、射出CAEのデザインインが可能、(3)設計者がこのシステムとの対話で充填時間などの数値パラメータを設定するだけで、最適化することができる、など。また解析結果の蓄積も可能で、射出最適設計のデータベースとしての利用もできることから、解析結果の実設計適用の効果を発揮する。
 射出金型設計では、ゲート位置やゲート径、冷却配管位置の決定が設計課題の中心となるが、このシステムはこれらについて最適な位置、径の決定を行えるようにしている。例えばゲート位置最適化機能では、熟練者に匹敵する候補位置を最新の探索技術で自動検出、最大15点のゲートに対応している。これにより試作評価の繰り返しを最小限に抑えることができる。また、このソフトは、事務機外装部品、自動車バンパー、インパネなど広範囲の分野におけるプラスチック成形製品に適応することが可能。
 なおこのシステムの価格は500万円で、MSC.Acumenとそのナビゲーションプログラム、MSC.Patran,iSIGHT,Planetsおよびそれぞれのデータを受け渡すインタフェースソフトをパッケージ化してCD-ROMで提供される。販売は4社で実施、国内外において2001~2003年の初期3年間で250セットの販売を計画している。