2013年06月13日
帝人、インモールド成形に最適なPC樹脂材料開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:帝人

帝人は13日、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンなどモバイル端末の筐体材料に適したポリカーボネート(PC)樹脂材料を開発したと発表した。PC樹脂を筐体材料とすることで、端末の軽量化に加え、インモールド成形(フィルムの絵柄を転写したり、フィルムと樹脂を一体化する成形方法)が可能となり、生産性向上も期待できる。

モバイル端末の筐体を軽量化するためには、薄肉成形性と高剛性の両立が必要となる。これらの条件を満たす材料として、カーボン繊維強化樹脂やマグネシウム合金などがあるが、筐体成形後に絵柄印刷、塗装など後加工が必要となり、生産コストアップにつながるため、一部の高級機種にのみ採用されるだけだった。

今回開発したPC樹脂材料は、特殊なガラス繊維と添加剤を使用することで、薄肉成形した筐体に要求される高剛性・寸法安定性などを満たしていることに加え、インモールド成形に最適な表面平滑性や従来のガラス繊維強化PC樹脂よりも40%高い流動性を有しているため、生産性向上も期待できる。

また、独自の難燃化技術によって、射出成形材料としてトップクラスの高い難燃性(UL94 V-0相当)を、従来は困難とされていた薄肉成形(0.6mm厚)で実現している。

すでにモバイル端末の筐体材料としては、一部ユーザーにサンプル出荷を開始しており、それぞれのユーザーニーズに応じた対応を進めると同時に、今後は、モバイル端末だけでなく、医療機器やアミューズメント、自動車など幅広いインモールド成形品用途への展開を期待している。