2013年06月28日
理研、窒素分子の切断と水素化を常温・常圧で実現
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所(野依良治理事長)は28日、新たに合成した多金属のチタンヒドリド化合物に窒素分子を常温・常圧で取り込ませ、窒素―窒素結合を切断し、窒素―水素結合の生成(水素化)を引き起こすことに成功したと発表した。従来法に比べ少ないエネルギーでアンモニアを合成できる、新しいアンモニア合成法の開発に道を開いたとしている。

窒素は、空気中の約8割を占めるほど豊富に存在するが、極めて安定で反応性に乏しい分子。工業的には、窒素と水素を高温・高圧のもとで固体触媒を使ってアンモニアを製造する。

理研は今回、3つのチタン原子からなる新しい多金属ヒドリド化合物を開発した。この化合物と窒素を反応させたところ、常温・常圧で窒素分子の窒素―窒素結合の切断、窒素―水素結合の形成に成功した。

これは、将来的に窒素と水素から温和な条件下でアンモニアを合成する省資源・省エネ型の製法開発につながると期待される。

この研究成果は、米国の科学雑誌サイエンスのオンライン版6月28日付(日本時間6月29日)に掲載される。