2000年11月28日 |
昭和電工、連結中期経営計画の進捗状況を発表 |
電子・情報事業の急成長などで順調に進展 |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:旭硝子、昭和電工、古河電工 |
昭和電工は28日、2000年を初年度とし「総合化学から個性派化学へ」をスローガンとする連結中期経営計画「チータ・プロジェクト」の進捗状況を発表した。 同計画は、2000~2002年の3年間を新たな成長に向けた「経営刷新期間」と定め、成長戦略事業への集中投資を継続しつつ、「飛躍のための戦略的縮小」を実行することを主眼としたもの。具体的には、事業ポートフォリオに基づいた事業・関係会社の売却、有利子負債の削減、人員削減を推進することにより、固定費の圧縮、バランスシートの改善を実現し、強固な収益力基盤を構築することにしている。 この日の発表によると、初年度である2000年は、(1)昭和アルミニウムとの合併合意(2)IT産業の成長に対応したエレクトロニクス関連事業の急成長(3)有利子負債や総労務費削減等、「チータ・プロジェクト」の計数目標の当初計画を上回るスピードでのクリア--等々に象徴されるように順調に進展しているという。 このため同社では、2年目以降の計画修正は行わず、「チータ・プロジェクト」の所期目標の着実な達成を目指していく。 テーマごとに見た進捗状況は次の通り。この中では、エレクトロニクス関連市場の需要の拡大に対処しての化合物半導体の大幅増産体制の構築や、アルミ固体コンデンサーのプラント完成とサンプル配布開始などによる電子・情報事業の急速な拡充が特に目を引く。 1.制度・システムの改革 (1)組織改革:事業部門改革(2000年3月より段階的に実施) 「生産」からの発想→「市場・顧客」からの発想 [1]機能の製販一体化 ・サプライチェーンマネージメントセンターの設置、「工場」呼称の廃止 [2]事業部(門)の製造拠点への移転 ・東京から各製造事業所(川崎、秩父、横浜、塩尻など)へ [3]事業部門制の徹底:事業部門長(カンパニーCEO)の権限拡大 ・投資権限、人事権限 [4]営業スタイルの直行直帰化推進 (2)スタッフ改革:質の高い「小さな本社」の実現 事務系スタッフ組織改革(2000年3月実施) ・戦略企画室-グループ経営戦略とチータ・プロジェクトの完遂 ・コーポレート・リレーション・センター-総務、広報・IR、秘書、法務などの機能集約 ビジネス・サポート・センター-経理・財務、購買、人事業務、情報システムなどの機能集約、来年以降関係会社に対象を拡大 なお、成長戦略を支える技術系スタッフのあり方を検討中。 (3)業績評価制度改革:成果重視の評価制度へ(2000年1月実施) [1]役員報酬制度の改革(昭和電工・関係会社役員を対象) ・年俸制に移行、計画達成度に応じ、年俸格差は最大60%超 [2]管理職処遇制度の改革(対象:昭和電工課長級以上) ・年功的要素を排除、年収差は評価差のみで ・ミッションを明確にし、評価に年収差は最大50% (4)退職年金制度改革(2001年1月実施予定) 給付水準の引き下げ(25%:5.5%→4.0%) (参考)積立不足 単独:400億円→300億円 連結:700億円→600億円 (5)IT戦略 IT=経営革新・競争力強化の基盤 [1]eビジネス:電子商取引推進委員会発足、電子商取引市場への参加(2000年6月) http://www.sdk.co.jp target=_blank>ホームページの刷新(2000年10月) [2]業務プロセス改革・ワーキングスタイル変革 ・化学他者に先駆けERPの全社導入(2000年1月) ・サプライチェーンマネジメントシステム構築(2000年12月から) ・営業利益報告・決済処理の電子化(2000年8月から) ・技術者ネットワーク構築(2000年11月から) (6)ベンチャー制度の新設(2000年5月) 目的:新事業開発の加速、企業風土の刷新、社員能力の発掘 第1号:タカ・プラスチック・ナビ 樹脂加工技術コンサルティング会社 2.中計目標の達成状況 (1)事業・関係会社売却 中計3年間の目標 2000年12月見込 関係会社売却 15社以上→7社 事業売却 →2件 これによる有利子負債削減額 3年間で500億円→80億円 同 売却益→46億円 なお、今年末見込みの有利子負債全体の削減額は、1998年末対比566億円 (2)総労務費:目標 3年間で200億円の削減 転進支援(早期退職)などの施策前倒しで目標達成に目処 中計目標 2000年末見込 2002年末見込 人員 2,500人 2,300人(注) 2,800人 労務秘策減額 200億円 170億円(注) 220億円(注) (注)昭和アルミとの合併前ベース、中計発表後の新規連結会社を含まず 3.事業ポートフォリオに基づく戦略実施状況 (1)電子・情報 [1]化合物半導体、電子関連材料:市場の急成長を背景に各製品とも増強 ・化合物半導体 InP・GaAs(光通信用受発光素子・電子デバイス用途) →InP中心に急成長し、2002年にはGaPni並ぶ柱に GaP→携帯電話を中心に需要拡大し大幅増産 ・レアアース磁石用合金 世界最大の1.5トン炉増設、来春稼動予定 ・タンタル 携帯電話市場拡大でタンタルコンデンサ需要急増、増設工事一部完成 ・半導体用特殊ガス 台湾第2、シンガポール、韓国設立→海外4カ国5拠点体制へ F14・f116能力増強完了、再増強予定 (2)ハードディスク、メモリーディスク事業:回復が視野に 環境は市場底打ち、業界再編も急速に進行 ・ハードディスク:業界トップの技術、製造部門分社化、労務コスト大幅削減 新製品:ハイエンド用30GBディスク、PCカード用1.8インチガラスディスク、AV用途向けHD ・メモリーディスク(昭和アルミ):国内生産縮小とマレーシア能力増強、需給関係改善によりフル稼働へ (3)新規製品:「無機と有機の融合」が結実 ・アルミ固体コンデンサ:ノーベル賞(導電性高分子)技術を活用、PC市場急拡大で需要急増、プラント完成・サンプル出荷開始 ・特殊セラミックス研磨材 液晶ガラス・HD用ガラス基板向け酸化セリウム研磨材生産増強 半導体デバイス用研磨材CMPスラリー市場に本格参入 ・ファインカーボン(VGCF) 携帯電話用リチウム電池・ポリマー電池の添加剤として急成長中 ・鉛フリーはんだ ノートPCに正式採用、環境保護の高まりから市場に浸透 [2]アルミニウム:グループ最大のコア事業 (1)昭和アルミニウムとの合併→成長戦略への架け橋 ・技術融合の促進:高機能・高品質の材料、部材を最適コストで顧客に提供 ・合理化:本社・販売拠点統合、組織のスリム化、人材の有効活用により、合併3年後に30~40億円のコスト削減 ・世界各地に有する生産・販売拠点を有効活用し、事業拡大を追及 (2)強化されるグループ経営 ・ショウティック:昭和アルミと相互補完関係mにある鋳造・鍛造技術を保有し2001年央をターゲットに昭和電工への合併実施予定 ・スカイアルミニウム:素材の安定供給先として技術面における関係を強化 ・ユニファスアルミニウム:スカイアルミと古河電工によるアルミ製品販売を主とする新会社、将来はスカイアルミと古河電工のアルミ部門との事業統合も視野 (3)高付加価値アルミ加工品事業のさらなる展開 ・CPU冷却ユニットの開発(昭和アルミ)→インテル社の標準認定 ・自動車サスペンション部品の開発(昭和アルミ) ・ショウティック新鍛造技術(S法)の開発 ・ショウティック・ポルトガル生産開始(日米欧亜4拠点体制確立) (4)汎用事業の再編 ・スカイアルミニウム:ユニファスアルミニウム設立 ・アルミ合金事業の製販一体化(昭和軽合金)-黒字基調が定着 ・昭光通商と協同軽金属の合併:アルミ関連商社機能の統合 [3]化学品 (1)特殊化学品:成長への助走 ・機能性ポリマー 生分解性樹脂(ビオノーレ)→エマルジョンを開発 ・光機能材料 光重合開始剤の開発右IT分野の市場開発、フォトレジストベンチャー買収 ・ビタミンC 飼料向けなどが伸長 ・農薬 殺虫剤・消毒事業合弁会社設立(フマキラー・トータルシステム)、新規殺虫剤開発 (2)ガス・化成品:事業再編による収益力強化 ・産業用ガス 関東地区中心の事業展開→関係会社売却(3社) ・代替フロン 旭硝子からのF134a受託生産開始 [4]石油化学:収益力の向上 ・大分エチレンクラッカーの競争力強化(2000年9月):戦略的能力縮小とコストダウン効果(年間30億円) ・ポリエチレン事業の競争力強化(JPO):高密度ポリエチレン(大分)系列統合工事開始→コストダウンと品質向上、さらなるアライアンスの追求 ・ポリプロピレン事業:MSSによる韓国ポリミレイ社への出資 ・酢酸誘導体事業のアジア展開:酢酸エチル、インドネシア新製法設備稼働 ・プロピレン誘導体事業の拡大:アリルエステル樹脂 用途プラスチック眼鏡レンズ、人造大理石など [5]無機材料:リストラクチャリングが奏効→収益力回復 無機材料事業は電子・情報事業の技術的バックボーン ・セラミックス:選択(不採算事業撤退)と集中(エレクトロニクス分野)で収益力大幅回復 ・人造黒鉛電極:日米2極体制のメリット追求により競争優位確立 ・電解鉄:売却 4.連結欠損金の一掃:目標2002年末累損一掃 ・2001年末は昭和アルミ合併などで約270億円まで大幅減の見込み 5.有利子負債の削減:目標2002年末累損一掃 ・2001年末予想 6,250億円(注、今年末までに566億円削減見込み) ・デット・エクイティ・レシオ:2001年末予想4.8倍 6.http://www.c-nt.co.jp/news/sdk_pj.html" target="top">その他数値目標の進捗状況:転進支援(早期退職)施策を前倒しに実施 <参考>http://www.c-nt.co.jp/news/sdk_pj.html" target="top">セグメント別業績推移 |